総合型選抜で併願受験する際の注意点とおすすめの大学

と疑問に思っている受験生は少なくありません。

そこで今回は、総合型選抜における「併願」という言葉の意味や、併願受験の注意点について解説します。後半部位には、併願受験が可能なおすすめの大学名も取り上げるので、ぜひ最後までお読みください。

総合型選抜で併願は可能なのか？

結論から言うと、総合型選抜で併願は可能です。

ただし、併願できるケースとできないケースがあります。

そのため、志望大学の募集要項をしっかり確認することが大切です。

「併願を完全に禁止している」専願型の総合型選抜は少ない

併願受験を完全に禁止している専願型の総合型選抜を実施している大学は少ないです。

なぜなら、併願受験を完全に禁止しているのは、募集要項に以下のような記述を設けている大学だけだからです。

上記のような記述が募集要項にある大学を受ける場合は、基本的には専願で受けることになります。つまり、他の大学と併願受験することは基本的にはできません。

しかし、募集要項の表記が「併願不可」や「専願である」といった表記ではなく、「入学を確約する者」といった表記の場合は、話は変わります。

というのも、滑り止めの大学に出願すること自体は可能で、黙認されているためです。少なくとも全面的な禁止はされていないと考えて問題ありません。

なぜなら、「入学を確約する者」という記載のある志望大学に合格した際にきちんと入学をすれば、「入学を確約した」ことになるためです。

つまり、「他大学との併願は不可」「当学の総合型選抜は専願型である」といった表記が募集要項にない大学を受けるのであれば、複数の大学に出願できるのです。

併願可能かどうかの判断ポイント

次に募集要項で、併願が可能かどうかを判断する際の1つの目安を紹介します。

前述した通り、募集要項で明確に「他大学との併願を禁止」していたり、「専願」という記載があったりする大学以外に出願するのであれば、他大学の併願は問題ありません。

上記を前提に、大学の募集要項でよく記載されている「併願可能かどうか」を迷う記載項目の意味をまとめました。

記載項目名	併願が可能かどうか
・専願	原則として併願不可
・併願は禁止	原則として併願不可
・合格を確約できる者	合格後に入学をするのであれば、滑り止めの受験はできる ただし、滑り止めの大学の募集要項に「専願」や「合格を確約できる者」という記載がある場合は、その大学は併願先として選べない
・第一志望とする者	あまり推奨されないが、合格後の辞退も基本的には問題ないと考えて良い
・併願可	併願することも合格後に辞退することも自由

さまざまな大学の募集要項を見ると、上記以外にも「併願可能かどうか」を迷う記述パターンは見つかるはずです。

以下のポイントを押さえておきましょう。

各試験形式と併願を考える際の留意点

各試験において、併願できるかどうかを事前に把握しておくことが大切です。そこでここでは、以下の5つのケースに分けて併願が可能かどうかについて解説します。

他大学の総合型選抜を受けるケース

募集要項の中で、「専願である」「他大学との併願は禁止」といった表記がない場合は、他の大学も併願受験できます。

しかし、合格後の辞退については、「合格後の入学の確約」といった文言の有無で変わるため注意が必要です。

合格後の「入学の確約」が募集要項で書かれている場合は、辞退は難しいと考える必要があります。一方で「合格後の入学の確約」といった文言が募集要項に書かれていない場合は、合格後の辞退が可能です。

そのため、複数の大学の総合型選抜に出願することを検討しているのであれば、以下を念頭に置いておきましょう。

総合型選抜は併願ができないと思われていることもありますが、多くの受験生は上記のような工夫をすることで複数の大学に出願しています。ぜひ参考にしてみてください。

一般選抜を受験するケース

総合型選抜と一般選抜の併願受験は可能。

なぜなら、一般選抜は入学することを確約する入試方式ではないため、「合格後に入学しない」という選択肢を取れるためです。

ただし、合格後の辞退ができない総合型選抜を実施している大学に、総合型選抜で合格した場合は注意しなければいけません。

総合型選抜で合格した大学に入学する必要が生じるので、一般選抜で志望度のより高い大学に合格したとしても、その大学への入学は難しいからです。

一方総合型選抜で合格した大学が、合格後の辞退が可能な場合は話が変わります。

合格後の辞退が可能な以上、一般選抜で志望度のより高い大学に合格した場合は、総合型選抜で合格した大学を辞退して、一般選抜で合格した大学に進学することも可能です。

この手段を取れば、総合型選抜を「滑り止め」として利用できるので、余裕がある状態で本命の一般入試に臨めるでしょう。

ただし、総合型選抜と一般選抜の対策はまったく異なります。うまく切り替えながらバランス良くそれぞれの対策を進め、両方の受験準備をすることが大切です。

指定校推薦を利用するケース

指定校推薦を利用する場合は、基本的に併願はできません。

指定校推薦は、高校と大学の信頼関係で成り立っている推薦入試であり、推薦の対象者はその大学に入学することが確約できる人です。

また、所属する高校の指定校推薦枠を取得すれば、選考の中で大きな問題を起こさない限り、基本的にはその大学に合格します。

そのため、指定校推薦に応募して推薦枠を勝ち取った時点で、進路が決まったようなものなので、総合型選抜と指定校推薦の併願は現実的ではありません。

一方で指定校推薦の利用を考えていながらも、校内選考に落ちて推薦対象者に選ばれなかった場合は、他の大学の総合型選抜に出願が可能です。

公募推薦（学校推薦型選抜）の利用ケース

公募推薦（学校推薦型選抜）を利用する場合は、基本的には合格後の辞退が難しいと考えましょう。

なぜなら多くの大学では、公募推薦の募集要項の中の出願資格部位に「合格後に必ず入学できる者」といった文言を記載しているためです。

ただし以下のケースであれば、公募推薦と総合型選抜の併願受験は物理的には可能です。

特に2については盲点かもしれません。公募推薦で合格した際には、総合型選抜で合格した大学を辞退すれば入学の確約は可能です。

専門学校を受験するケース

特定の分野を学びたい人の中には、専門学校との併願を検討している人もいるでしょう。

他の大学への併願が認められている大学の場合、4年制大学だけに限らず、専門学校の併願も可能なケースがあります。

ただし大学によって異なるので、志望大学の募集要項を必ず確認してください。

複数の大学に出願する際のおすすめの受験戦略

総合型選抜を受験する際におすすめの併願戦略は、合格後の入学の確約が求められる大学を第一志望に置くこと。そして第一志望以外の大学は、基本的に併願可能な大学と一般受験で固めます。

この戦略であれば、複数の大学に合格した場合でも、志望度の高い大学に入学できるでしょう。

逆に第一志望以外の大学に合格後の辞退が認められない、総合型選抜や公募推薦を実施している大学を選ぶと大変です。

なぜなら第一志望の大学に合格しても、その大学の合格を辞退して入学が義務付けられている、志望度の低い大学に入学しなくてはいけないためです。

第一志望以外の滑り止めを前提とした併願受験先は、「合格後の辞退が可能」な総合型選抜を実施している大学にしましょう。

併願受験先を考える際に念頭に置きたい4つの注意点

併願受験先を考える際に念頭に置きたいポイントは、以下の4つです。

それぞれの詳細について解説します。

大学ランクよりも学びたいことが学べるかで選ぶ

一般選抜とは異なり、総合型選抜の場合は志望動機が求められます。

そのため、入学後に学ぶ学問への関心がないと、合格できません。

併願先を選ぶ際は、大学ランクよりも大学入学後に学びたいことを学べるかどうかで選ぶことが重要です。

合格難易度の高い大学ばかりを選ぶのは避ける

併願として受験する大学が志望大学と同一ランクの場合、全て不合格の可能性もあります。

例えば、同志社大学を第一志望としている人が、併願先として立命館大学や関西大学のような同じランクの大学を選ぶのはおすすめできません。

併願先としては、第一志望よりもランクが低い大学や、倍率が明らかに低い大学に出願するのが望ましいです。

第一志望の大学と選抜内容が似ている大学にする

選考内容が第一志望の大学と明らかに異なる場合、準備に余計な時間がかかります。

例えば、第一志望の大学に小論文がないにもかかわらず、二次選抜に小論文がある大学を併願先として選ぶケースなどです。

第一志望の大学と併願先の選考内容が似ていると、第一志望の対策がそのまま活かせるため、対策の負担が最小限に抑えられます。

第一志望の大学の選抜日程との兼ね合いを考える

出願書類の締切日が第一志望の大学の選考日程と近すぎる場合、併願受験先の書類作成に追われて、第一志望の大学の対策が疎かになる恐れがあります。

そのため、第一志望の大学の対策に支障をきたす日程の大学は、併願先として選ばない方が無難です。

併願OKの総合型選抜を実施している大学

総合型選抜で併願可能な大学をいくつか紹介します。

関西と関東に分けて紹介するので、併願先を選ぶ際の参考にしてください。

関西編

ここでは、併願受験が可能な総合型選抜を実施している関西の有名大学を3つご紹介します。

立命館大学

立命館大学は併願受験が可能な総合型選抜を実施しています。

立命館大学の公式サイトを見ると、出願条件には以下のような記載があります。

Q AO選抜入学試験を受けたいのですが、他大学との併願はできますか？

A 併願は可能です。ただし、AO選抜入学試験の出願要件は「立命館大学を第一志望として勉学を希望する者」です。つまり、他大学と併願しても、合格した場合には立命館大学に入学することが前提です。
引用元：（総合型選抜）AO選抜入学試験 入試Q&A｜立命館大学

合格した際には「入学が前提」という記載があるとはいえ、入学は義務付けられていません。そのため、合格した後に辞退をすることも不可能ではないと解釈できます。

立命館大学の総合型選抜の特徴と各学部の選考内容は、以下の記事で詳しくまとめています。

⇒立命館大学の総合選抜の特集ページはこちら

関西大学

関西大学も併願が可能な総合型選抜を実施している関西圏の大学の1つです。

関西大学の総合型選抜の出願条件には以下のような記載がされており、「専願」という記載がないためです。

１　関西大学における志望学部での勉学を強く希望し入学を志す者。
引用元：2026年度関西大学 総合型選抜アドミッション･オフィス入学試験（AO入試）入学試験要項

要するに、「関西大学で学ぶことを強く希望している」気持ちさえあれば、出願できる上に、他大学への出願も禁止されていません。

また、合格後の入学も義務付けられていない以上、合格した際の辞退も可能です。

関西大学の総合型選抜の特徴と各学部の選考内容は、以下の記事で詳しくまとめています。

⇒関西大学の総合選抜の特集ページはこちら

京都産業大学

京都産業大学も併願受験を禁止していません。

なぜなら、募集要項内の出願資格には以下のように、「京都産業大学の志望学部等で学びたいという強い意志と能力を備えている者で、次のいずれかに該当する者」という記載があります。

京都産業大学の志望学部で学びたいという強い意志と能力を備えている者で、次のいずれかに該当する者

(1)学校または中等教育学校を卒業した者および2026年３月31日までに卒業見込みの者
(2)通常の課程による12年の学校教育を修了した者および2026年３月31日までに修了見込みの者
(3)学校教育法施行規則第150条の規定により、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認め
られる者および2026年３月31日までにこれに該当する見込みの者

引用元：2026年度入学試験要項（特色入試）｜京都産業大学

上記の試験要項を見る限り、合格後の辞退を禁止する文面がない上に、併願不可とも書いていないので、他大学との併願受験は黙認されていると判断できます。
参照元：2026年度入学試験要項（特色入試）｜京都産業大学

関東編

次に関東の私立大学の中で、併願受験が可能な総合型選抜を実施している大学の一例をご紹介します。

立教大学

立教大学も他大学との併願受験を禁止していません。なぜなら、立教大学は公式サイトにおいて、以下のことを公表しているためです。

Q7 自由選抜入試は他大学との併願は可能ですか？

A 他大学との併願は妨げませんが、立教大学での勉学に強い意欲を持っていることが重要です。
引用元：2026年度特別入試についてのQ&A

総合型選抜で立教大学に合格した上で、よりランクの高い大学に合格した際には、辞退できるのです。

併願受験が認められている立教大学の総合型選抜の特徴と各学部の選考内容は、以下の記事で詳しくまとめています。

⇒立教大学の総合選抜の特集ページはこちら

武蔵野大学

武蔵野大学の総合型選抜 I 期（面接型）も併願受験が可能です。公式ホームページ上では、以下のように記載されています。

今までの経験や本学で学ぶ意欲を積極的にアピールできる自己推薦型の選抜制度です。志望する学科への適性や大学入学後に欠かすことのできない学びに対する意欲・目的意識等を審査します。自分をアピールするのにふさわしい出願資格を選んで出願してください。他大学との併願が可能です。
引用元：総合型選抜 I 期（面接型）／2026（令和8）年度入試｜武蔵野大学

武蔵野大学の総合型選抜の特徴と各学部の選考内容は、以下の記事で詳しくまとめています。

⇒武蔵野大学の総合型選抜の特集ページはこちら

國學院大學

國學院大學の総合型選抜は、他学部との併願、他大学との併願共に可能です。

募集要項には、以下のような記載があります。

本制度は他大学との併願が可能です。
引用元：2026年度（令和８年度）公募制自己推薦（AO型）入学試験要項｜國學院大学

しかも、國學院大學の総合型選抜では出願時に評定平均の制限を設けていません。

そのため、総合型選抜を使ってどこかの大学に入学をしたい、という人にとっては出願しやすい魅力的な大学と言えるでしょう。

中央大学

MARCHの1つである中央大学も、併願受験が可能な総合型選抜を実施している大学の1つです。

例えば、中央大学の法学部のチャレンジ入学試験の募集要項を見ると、以下のような記載があるります。

・本入試制度は自由応募制です。他の入試制度や本学他学部、他大学との併願を認めています。
引用元：2026年度年度法学部チャレンジ入学試験｜中央大学

上記のように、他の入試方式や他学部、他大学の併願が認められているので、中央大学と他の大学に合格した際には中央大学の合格の辞退が可能です。

併願受験を認めている中央大学の総合型選抜の特徴と各学部の選考内容は、以下の記事で詳しくまとめています。

⇒中央大学の総合型選抜の特集ページはこちら

複数の大学の総合型選抜に出願する予定の受験生が良く抱く疑問点

複数の大学の総合型選抜に出願する際に、疑問や不安を抱く受験生は多いもの。

併願で失敗しないためにも、事前に疑問や不安は解消しておくことをおすすめします。

合格後の入学が必須の大学に2つ以上出願はできるの？

入学後の辞退は不可ですが、申し込み自体は不可能ではありません。

「合格後の入学が必須」の大学は、合格後に入学することが義務付けられているだけであり、他大学への出願自体は可能です。

つまり合格した大学に対して、合格後の入学の確約ができれば良いので、各大学の選考の日程次第では、複数の大学に申し込める場合もあります。

例えば、合格発表日が10月1日のA大学と二次選抜の日程が10月2日のB大学に出願するとします。

その場合、A大学の合格が決まった瞬間にB大学に選考の辞退を申し出ればどうでしょうか。

B大学には合格していないので、合格後の辞退をしたことにはなりませんよね。つまり、A大学に入学をすれば、合格後の入学を確約したことになります。

選考の辞退は相手の時間を奪うのであまりおすすめできませんが、試験の日程次第では「合格後の辞退が禁止されている」タイプの総合型選抜に申し込んでも、「合格後の入学の確約」を果たすことは可能です。

「専願」・「併願不可」という大学を受ける際に併願する方法はないの？

当スクールとしては推奨しません。完全に自己責任にはなりますが、こっそりと他大学に出願することが不可能ではないのが現実です。

なぜなら、「専願」・「併願不可」ということを募集要項に書いている大学であっても、他の大学と志願者の情報を連携しているわけではないからです。

大学側が、各志願者が他の大学に出願しているかどうかを調べるのは困難なので、他の大学に出願したとしてもバレない可能性は十分にあります。

完全に自己責任にはなりますが、専願型の総合型選抜への複数出願は物理的に不可能ではない、ということは知っておきましょう。

ただし、「専願」・「併願不可」という表記が募集要項にある大学を受験する場合、合格後の入学は事実上「前提」となります。

そのため、運よく他の大学に出願した行為がバレなくても、「専願」・「併願不可」という大学に合格した際には、必ず入学しなければいけません。

何らかの理由で入学できない場合、併願不可・専願という出願時の条件を破ったことが高確率でバレるので、大学側とトラブルになる可能性もあります。

併願受験する場合、調査書は何枚必要なの？

調査書は、出願する大学の数だけ必要で、基本的に、1大学につき1枚です。

そのため、出願する大学の数だけ先生に調査書の発行を頼む必要があります。

併願校は何校受けるのが一般的なの？

3校併願して、4つの大学に申し込むのが理想的です。

第一志望・第二志望・第三志望・確実に受かる大学、の4つを受験すれば、浪人も防げるでしょう。

ただし併願の数が増えると、その分第一志望の大学に必要な準備が疎かになってしまいます。また受験する大学が増えれば増えるほど、受験料もかかるでしょう。

併願先は多くても3、4校に絞るのが無難です。

高校の先生に併願受験は認めないと言われたんだけど・・・

決して多くはありませんが、一部の高校では複数の大学の総合型選抜に出願することを禁止している場合があります。

当スクールの過去の生徒の中にも、学校側に併願受験を反対され、「1校の出願しか認めない」と言われた生徒が複数いました。

もし似たようなケースに見舞われた場合は、粘り強く高校側に交渉してください。

なぜなら、「併願禁止」「専願型である」といった記載が募集要項にない大学の総合型選抜を受ける場合は、他の大学を併願する権利があるためです。

この記事をプリントアウトしても良いので、学校の先生に複数校への出願を認めてもらえるように交渉しましょう。

また、当スクールの無料相談会では、総合型選抜の出願における高校側とのトラブルについてもアドバイスをしております。興味があれば、ぜひ以下よりお申し込みください。

⇒当スクールの詳細と無料相談のお申し込みページ

このページのまとめ

今回は、総合型選抜で併願する際の注意点やおすすめの大学について詳しく解説しました。

改めて今回取り上げた内容の中で、特に重要な点をまとめました。

総合型選抜では併願受験を利用する受験生が多く見られます。そのため、今回の内容を参考に正しい併願戦略を立てた上で総合型選抜に挑戦してください。