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理系の総合型選抜や公募推薦は、意外と競争率が低く、一般選抜よりも合格しやすいケースがあることをご存知でしょうか?
この記事では、理系学部・学科の受験を控えている高校2〜3年生や保護者の方向けに、以下の内容についてわかりやすく解説しています。
今回ご紹介する記事のポイント
- 理系の総合型選抜や公募推薦の特徴
- よくある出願条件や選考内容
- 一般選抜ではなく総合型選抜などを利用するメリット
- 試験対策のポイント
- 総合型選抜・公募推薦での受験におすすめの大学10校
- 一般選抜との両立について
また、以下のような疑問・お悩みを抱える方にぴったりの内容となっているので、一つでも気になるものがあれば、ぜひ最後まで目を通してみてください。
今回の記事と特に相性が良い人
- 「総合型選抜や公募推薦のことがよくわからない」
- 「総合型選抜や公募推薦で合格するための対策方法が知りたい」
- 「理系学部・学科で総合型選抜や公募推薦を実施している大学が知りたい」
この記事を書いた人:竹内健登(たけうち・けんと)
東京大学工学部卒業。内定率100%の就活塾ホワイトアカデミーの創立者であり、ホワイトアカデミー高等部の校長。
自身の大学受験は東京大学に加えて倍率35倍の特別選抜入試を使って東京工業大学にも合格し、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。
高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると丸7年。現在は大学生の就活支援を通して培った書類添削スキルと面接指導力を武器に総合型選抜並びに公募推薦の指導を担当中。
倍率300倍を超える就活で確かな結果を出してきたメソッドを利用し、過去担当した高校生は全て志望校に合格させている。
目次
理系の総合型選抜と公募推薦の特徴
理系の総合型選抜と公募推薦には、このような特徴があります。
理系の総合型選抜と公募推薦の特徴
- 出願条件を満たせば誰でも出願できる
- 出願条件は、評定平均・学業以外の優れた実績・英語資格・必履修科目など
- 提出書類・筆記試験・小論文・面接などの成績を総合的に評価する
- 学外での活動実績や探究活動なども評価される
- 多くの大学で、合格した場合は入学が必須となっている
- 一般選抜より早く、年内には合格が決まる
なお、「そもそも総合型選抜についてよく知らない」という方は、こちらの記事で総合型選抜の全体像をまとめているのでご覧ください。
出願条件について
理系の総合型選抜では、以下のような出願条件が課されるケースが多いです。
- 評定平均
- 履修が必要な科目
- 英語資格・検定試験の成績
- 志望学部・学科に関連する学内外での活動実績
多くの大学では評定平均や履修科目の出願条件が設定されており、一部大学では活動実績や一定以上の英語レベルが求められています。
以下の表で、大学レベルごとに出願条件の例をまとめていますので、総合型選抜を検討している方はぜひ目を通してみてください。
大学レベル | 出願条件の例 |
---|---|
S (早慶) |
・数学、物理、化学オリンピックなどでの入賞実績 |
AA (東京理科など) |
・4.0〜4.3程度の評定平均 ・志望学部・学科に関連する活動実績 |
A (中大・立命館など) |
・3.0〜3.8程度の評定平均 ・履修が必要な科目 ・英語資格・検定試験の成績 |
B (日大など) |
・3.0〜3.8程度の評定平均 ・履修が必要な科目 ・英語資格・検定試験の成績 |
C (北里など) |
・履修が必要な科目 ・評定平均 |
出願時に提出が求められる主な書類
理系の総合型選抜の出願時には、主に以下のような書類の提出が求められます。
- 調査書
- 志望理由書
- 自己PR書
- 活動報告書
- 英語資格・検定試験の成績表
ただし、出願時に提出が必要な書類は各大学、学部学科で異なるため、必ず最新の募集要項を確認して抜け漏れのないように注意しましょう。
選抜内容について
理系の総合型選抜で実施される選考内容には、次のようなものがあります。
一次選考 | 書類選考 |
---|---|
二次選考 | ・筆記試験 ・面接または口頭試問 ・小論文 ・実技試験 ・プレゼンテーション など |
一般的に、理数系の学部学科は筆記試験や小論文、建築系の学部学科は実技試験やプレゼンテーションを課すケースが多いです。面接はほとんどの学部で実施されています。
例として、2024年4月入学者向けの早稲田大学 創造理工学部「早稲田建築AO入試(創成入試)」の試験内容を見てみましょう。
一次選考 | 書類選考 (志願者自己報告書、活動実績報告書、推薦状などを審査) |
---|---|
二次選考 | ・筆記試験 提示された課題について、鉛筆によるドローイングと文章説明による提案・表現を行う ・面接試験 ※自己PR資料・・・建築学科を志望する応募者の創造性や個性、リーダーシップなどをアピールする、作品・研究・調査・社会貢献などの活動実績を表す資料(書式、枚数自由) |
参照元:早稲田大学 理工学術院 公式サイト、「早稲田大学 創造理工学部 早稲田建築AO入試(創成入試)入学試験要項」
理系の総合型選抜と公募推薦の共通点と相違点
ここで、理系の総合型選抜と公募推薦に共通する点と異なる点をまとめておきます。
共通点 |
|
---|---|
相違点 |
|
総合型選抜と公募推薦には出願条件に評定平均の下限値を設けている大学の数と、学校長の推薦書の準備が必要かどうかの違いがあります。
しかし、両者には大きな違いはありません。なぜなら、合否の判定項目はどちらも基本的には以下をはじめとした複数の項目の総合点で決まるためです。
- 英検の取得の有無、評定平均といった調査書の内容
- 課外活動での実績
- 大学側が個別で提出を求める出願書類の完成度
- 二次選抜で実施される小論文や個別の学科試験の点数
- 面接での印象
- その他大学が個別で課す選抜内容での評価
合否判定の評価項目が基本的には同じである以上、理系の総合型選抜も理系の公募推薦も対策内容は変わらない事はご理解ください。
一般選抜ではなく総合型選抜や公募推薦を利用するメリット
一般的に、理系学部を志望する受験生は一般選抜を利用するケースが多いです。
そんな中で、理系志望の方が総合型選抜や公募推薦を利用することにどのようなメリットがあるのでしょうか?
主な5つのメリットを大公開
理系志望の受験生が総合型選抜や公募推薦を利用するメリットは、主に5つです。
①学業以外の活動実績が評価される | 総合型選抜や公募推薦では、以下のような活動実績が評価されます。
|
---|---|
②志望大学の受験機会が増える | ・総合型選抜・公募推薦または指定校推薦・一般選抜は、併願も可能(一部大学を除く)。 ・一般選抜のみで挑戦するよりもチャンスが増える。 |
③3年生からの対策でも合格が狙える | ・総合型選抜や公募推薦の試験科目は、小論文・面接・筆記試験など。 ・小論文や面接は高校3年生から本格的に対策を始めても間に合わせる事は可能。 |
④受験を早めに終わらせられる | 総合型選抜や公募推薦は遅くとも年内に合格が決まるため、一般選抜よりも早く合格して受験を終わらせたい方におすすめ。 |
⑤一般選抜よりも倍率が低いところがある | 大学によっては、一般選抜よりも総合型選抜や公募推薦の方が倍率が低いことも。なかには1.0倍程度の学部・学科もあり、狙い目。 |
上記の5つのメリットの中で最も注目に値するのは、最後に取り上げた、倍率が一般選抜よりも低いケースがある点です。この点について少し補足します。
一般選抜よりも倍率が低いケースの一例
一般選抜よりも総合型選抜や公募推薦の方が合格しやすい大学・学部学科は、探してみると案外たくさん見つかります。一例をご紹介しますので是非ご覧ください。
関西学院大学・建築学部・建築学科(2023年度入試)
項目 | 一般選抜 (総合型) |
総合型選抜 (探究評価型入試) |
---|---|---|
志願者数 | 711 | 1 |
合格者数 | 235 | 1 |
倍率 | 3.0 | 1.0 |
芝浦工業大学・工学部・応用化学科(2023年度入試)
項目 | 一般選抜 | 総合型選抜 (理工系女子特別入学者選抜) |
---|---|---|
志願者数 | 114 | 10 |
合格者数 | 45 | 9 |
倍率 | 2.5 | 1.1 |
参照元:芝浦工業大学「一般入学試験結果」「【総合型】理工系女子特別入学者選抜」
同志社大学・理工学部・電子工学科(2023年度入試)
項目 | 一般選抜 (学部個別日程) |
公募推薦 |
---|---|---|
志願者数 | 403 | 4 |
合格者数 | 191 | 4 |
倍率 | 2.1 | 1.0 |
参照元:同志社大学 入試統計(一般選抜入試、推薦選抜入学試験・自己推薦入学試験(公募制)
立教大学・理学部・化学科(2023年度入試)
項目 | 一般入試 | 自由選抜入試 |
---|---|---|
志願者数 | 875 | 12 |
合格者数 | 255 | 4 |
倍率 | 3.4 | 3.0 |
参照元:立教大学 2023入試結果(一般入試、自由選抜入試)
理系の総合型選抜と公募推薦の対策のポイント
ここからは、理系の総合型選抜と公募推薦の対策ポイントについて詳しく解説していきます。
総合型選抜と公募推薦に共通する対策すべきポイントと、理系学部ならではのポイントをそれぞれ解説しているので、ぜひチェックしてください。
6つの基本的な対策項目
まずは、理系であろうと文系であろうと、総合型選抜や公募推薦を受けるのならば基本的には対策が必須である6つの最重要対策項目を取り上げます。
対策項目 | 各項目の詳細 |
---|---|
①高い評定平均を取る | 公募推薦をはじめ、総合型選抜でも評定平均が出願条件となっている大学は多い。一次選考が書類審査で、出願条件に評定平均が含まれている場合は、基準値よりもできるだけ高い評定平均が必要。
また、出願条件に評定平均を課さない大学であっても、各受験生の評定平均は確認並びに評価の対象にしている可能性が高いので、少しでも高める事が重要。 |
②出願書類のクオリティを上げる | 総合型選抜や公募推薦は、一次選考として書類審査があるケースが多い。出願書類をしっかり作り込まないと、難関大学の一次選考は合格できない。 |
③英検2級以上を取る | 英語の資格・検定試験の成績を出願条件に設定している大学も多い(立教・関西学院・芝浦工業など)。高校卒業程度である2級以上は取得しておきたい。 |
④小論文対策に力を入れる | 総合型選抜や公募推薦では二次選抜に小論文が課されることが多い。小論文の出来は合否の判定項目になる上に対策をしたかどうかで試験日の小論文の出来栄えが大きく変わる。
そのため、小論文を課される大学・学部の総合型選抜や公募推薦を受けるのならば対策は必須と言える。 |
⑤面接や口頭試問の練習をする | ほとんどの大学で課されるため、対策は必須。志望理由や入学後の学修計画、卒業後の進路、学部学科に関する知識などが問われる。たくさん練習して話すことに慣れておかないと、本番でうまく話せない。 |
⑥学科試験の対策をする | 学部学科に関する知識や高校で学んだ知識を問う形の試験も多くの大学で実施している。一般選抜と同じく、過去問を中心とした対策に力を入れるのが重要。 |
文系・理系に関わらず、この6点についてはしっかりおさえておきましょう。
次に、理系ならではの対策しておきたいポイントをいくつか紹介します。
志望する学部・学科に評価される実績を積む
総合型選抜や公募推薦では、一般選抜のような学力試験では測れない「個性」や「強み」が高く評価されます。
そうした項目を評価するための一つの指標が、学内外での活動実績です。
特に評価される活動実績の一例
理系の総合型選抜や公募推薦では、以下のような活動実績があると合格がグッと近づきます。
- 学部・学科に関連する大会・コンテストなどの実績(数学・物理・化学オリンピックなど)
- 志望学部・学科に関連する探究学習の実績
- 英検、数検、簿記、パソコン検定などの高度な資格
また、志望学部・学科に関連する活動実績があると、志望理由書や自己PRの内容を充実させられるのもポイント。
より具体性を持って意見を主張できるため、志望理由書や自己PRの内容にお困りの場合は活動実績を作ってみるのもおすすめです。
大学側が求める活動実績の条件の一例
総合型選抜や公募推薦で求められる活動実績の一例として、いくつかの大学の出願条件を挙げてみました。
大学・学部 | 出願条件 |
---|---|
武蔵野大学・数理工学科 (総合型選抜) |
参照元:武蔵野大学入試情報ページ |
中央大学・理工学部 (高大接続型自己推薦) |
【数学科】
【物理学科】
|
明治大学・総合数理学部 (自己推薦特別入学試験) |
|
志望する学部・学科で学ぶ学問に関する知識を増やす
総合型選抜や公募推薦でも、志望学部・学科に関する専門知識や土台となる基礎知識がしっかり身についているかどうかは重要な評価ポイントです。
というのも、理系の総合型選抜や公募推薦では、以下のような選考内容を通して、志望学部・学科で学べるだけの知識・思考力があるかを評価されるためです。
- 「事前課題」
- 「筆記試験(実技試験」
- 「学部学科に関する小論文」
- 「口頭試問」
上記のいずれの選考内容においても、高校数学や高校理科の知識が求められる場合があります。
数学は学部・学科にもよりますが多くの場合数学Ⅲまで求められます。理科に関しては学部・学科ごとの必要科目や必要単元が大きく異なるのが特徴です。
例えば建築学部なら物理、生物学科なら生物といった具合です。
あなたが志望している学部・学科に必要な高校数学・高校理科の範囲が分からない場合は、高校の先生や塾の先生に相談・確認することをお勧めします。
また、高校範囲を超えた数学・理科や学部・学科と関連する専門知識が求められる場合もあります。その場合は、事前に参考書を読む等して対策をしておきましょう。
事前に勉強をして知識をつけておけば、二次試験や口頭試問において熱意と学力の双方を大学にアピールできますので是非とも身につけておきましょう。
提出できるポートフォリオや作品を作る
建築学部をはじめとする建築・工学系や情報系学部を志望している方は、ポートフォリオや自分の作品をつくってみるのもおすすめです。
大学によっては出願書類として提出したり、二次選考の面接やプレゼンテーションで発表を求められたりすることもあるので、余裕があればぜひチャレンジしてみましょう。
ポートフォリオの作り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
総合型選抜で狙い目のおすすめの大学
次に、編集部がおすすめする総合型選抜で狙い目の大学を5つ紹介します。
関東の私大・関西の私大・国立大学の3種類に分けて紹介しているので、総合型選抜の受験を検討している方は要チェックです。
関東の私立大学編
明治大学・理工学部・電気電子生命学科
出願書類 (2024年度) |
・エントリーシート(テーマ1〜2) ・入学志願票 ・受験票 ・検定料振込用紙 ・出願資格を証明する書類 |
---|---|
選抜内容 (2024年度) |
・出願書類の審査 ・学力考査(数学(「数学 I・数学Ⅱ・数学Ⅲ・数学A・数学B(数列・ベクトル)」)及び英語) ・口頭試問(電気電子生命学科のアドミッション・ポリシーにいかにマッチしているかという点に重点をおいて実施) |
倍率 (2022年度) |
電気電子工学専攻…2.1倍 生命理工学専攻…2.7倍 *2023年度の倍率が非公開のため2022年度のものを参照 |
おすすめの理由 | ・出願条件に評定平均、英語資格、履修科目、活動実績など無し ・学力考査も数学と英語のみで、一般選抜との両立もしやすい |
参照元:明治大学 理工学部「2024 年度理工学部アドミッションズ・オフィス(AO)入学試験要項」、パスナビ「明治大学 入試結果(倍率)」
芝浦工業大学・システム理工学部・電子情報システム学科
出願書類 (2024年度) |
・入学志願書 ・自己推薦書 ・英語資格・検定試験の成績表 ・調査書等出願資格を証明する書類 |
---|---|
二次選抜の内容 (2024年度) | ・小論文(60分/電子情報システムに関連する技術的、あるいは、社会的課題に関するものより出題)
・口頭試問を含む面接(30分程度/調査書・自己推薦書、小論文の内容に関する質疑、および、基礎学力に関する質問と、志望動機、入学後のプラン、将来ビジョン(こころざし)等を確認) |
倍率 (2023年度) |
1.0倍(志願者2名) |
おすすめの理由 | ・英検2級合格レベルの英語力と理数系の指定科目を履修していれば出願できる ・他学科より試験科目が少なく楽。対策もしやすい |
参照元:芝浦工業大学「【総合型】システム理工学部AO入学者選抜」
関西の私立大学編
立命館大学・理工学部・数理科学科 数学コース
出願書類 (2024年度) |
・調査書等 ・志望理由書 ・数検準1級以上の合格証明書(該当者のみ) |
---|---|
選抜内容 (2024年度) |
①「数学について、高等学校での学習から大学での学習につながる内容のセミナー(60 分)」を行うとともに、「セミナー内容に関する理解を問う筆記試験(60 分)」を行います。 *数理科学科志望者のみを対象として実施します。
②「面接(口頭試問)(約 30 分)」を実施し、大学で数学を学ぶための心構えや数学の基本的な知識などについて確認します。 |
倍率 (2023年度) |
1.8倍 |
おすすめの理由 | ・数学・物理の指定科目を履修済み、かつ評定平均3.0以上であれば、800字程度の志望理由書の作成のみで出願可能。
・セミナーについての筆記試験のため、一般的な筆記試験が苦手な方におすすめ。口頭試問・面接の対策もしやすい。 |
参照元:立命館大学「2024 年度 (総合型選抜)AO 選抜入学試験 理工学部「理工セミナー方式」 入学試験要項」、入学試験結果 総合型選抜(AO・文芸・スポーツ選抜)
関西学院大学・理学部・物理・宇宙学科(探究評価型入試)
出願書類 (2024年度) |
・探究活動の成果物 ・探究活動(成果物)の概要説明書 ・大学入学後の学びの計画書 ・探究活動を行った授業科目 ・正課外活動リスト ・発表の記録 ・英語資格・検定試験の成績表 ・調査書 |
---|---|
二次選抜の内容 (2024年度) |
口頭試問含む面接 |
倍率 (2023年度) |
1.0倍(志願者1名) |
おすすめの理由 | ・探究活動に関する書類や大学入学後の学修計画をメインで評価するため、探究活動に一生懸命取り組んだ方に最適。
・試験が書類審査と口頭試問含む面接のみで、一発本番の試験よりもしっかり事前準備をして入試に臨みたい方におすすめ。 |
参照元:関西学院大学「探究評価型入学試験要項 2024年度」、入学試験データ 2023
国公立大学編
東北大学・工学部・化学/バイオ工学科
出願書類 (2023年度) |
・入学志願書 ・志願理由書 ・活動報告書 ・英語の資格・検定試験の成績表 ・調査書 ・志願者評価書 |
---|---|
選抜内容 (2023年度) |
【一次選考】 ・筆記試験 英文読解力や作文能力,数理的思考力,物質などに関わる自然科学分野の基礎的理解度や論理的思考力について評価します。 ・出願書類 【二次選考】 |
倍率 (2022年度) |
2.4倍
*2023年度の倍率が非公開のため2022年度のものを参照 |
おすすめの理由 | ・大学入学共通テスト不要で受験できる。
・共テ不要総合型選抜は倍率3〜4の学部・学科が多いが、化学・バイオ工学科は倍率2.0台で狙い目。 |
参照元:東北大学「2023年度 AO入試(総合型選抜)II期学生募集要項」、パスナビ 東北大学 倍率
公募推薦で狙い目のおすすめの大学
続いて、公募推薦で狙い目の大学を5つ紹介します。
関東の私立大学編
東京理科大学・工学部・工業化学科
出願書類 (2024年度) |
・調査書 ・推薦書 ・学校推薦型選抜志願者調書 |
---|---|
選抜内容 (2024年度) |
・書類審査 ・化学(化学基礎・化学)に関する小論文 ・面接(志望理由等) ・化学(化学基礎・化学)に関する口頭試問 |
倍率 (2022年度) |
1.0倍(志願者2名)
*2023年度の倍率が非公開のため2022年度のものを参照 |
おすすめの理由 | ・数学、外国語、理科の評定平均が4.0以上と高めの方なら出願可能。
・小論文が30分で、内容も化学のみと対策しやすい。口頭試問も化学のみのため、化学一本で勝負したい方に最適。 |
参照元:東京理科大学「2 0 2 4 年度 学校推薦型選抜(公募制)募集要項」、パスナビ「東京理科大学」
北里大学・海洋生命科学部
出願書類 (2024年度) |
・入学志願票 ・推薦状 ・調査書 |
---|---|
選抜内容 (2024年度) |
・小論文(60分/100点) 学部の特色や専門分野を反映した課題を提示し、受験生 の基礎的知識・理解力と適応能力を測り、かつ意見や感想、考えを文章によって表現する能力を問うものです。解答文字数は800字以内です。 ・面接(50点) ・調査書(50点) ・推薦状 |
倍率 (2023年度) |
1.0倍(志願者52名) |
おすすめの理由 | ・評定平均が3.5以上なら出願可能。英語資格や活動実績などは不要。
・一般選抜が倍率2倍以上なのに対し、総合型選抜は倍率1.0台で狙い目。第一志望なら必ず受験すべき。 |
参照元:北里大学「海洋生命科学部 学校推薦型選抜試験(公募制)概要」、「2024年度 学生募集要項」「2023年度各学部入学試験状況について」
関西の私立大学編
同志社大学・理工学部・電子工学科
出願書類 (2024年度) |
・入学志願票 ・学校長または工業高等専門学校長の推薦書 ・調査書 ・志望理由書 |
---|---|
選抜内容 (2024年度) |
・書類審査(推薦書、調査書、志望理由書) ・小論文(60分) ・面接及び口頭試問 |
倍率 (2023年度) |
1.0倍(志願者4名) |
おすすめの理由 | ・工業・情報に関する学科、総合学科、工業高等学校、工業高等専門学校の出身者限定だが、試験内容は一般的で倍率も低いので該当するなら狙い目。
・評定平均が高く(出願条件:全体と外国語が4.3以上)、学業成績に自信がある方におすすめ。 |
参照元:同志社大学「2024年度 理工学部推薦選抜入学試験要項(工業高等学校等)」、2023年度 入試結果
関西大学・化学生命工学部・化学/物質工学科
出願書類 (2024年度) |
・推薦書 ・志望理由書I・II ・調査書 |
---|---|
選抜内容 (2024年度) |
・総合問題 ・口頭試問を含む面接 (どちらも数学・理科に関する基礎学力(教科書レベル)の確認を含む) |
倍率 (2023年度) |
専願…1.1倍 併願…1.7倍 |
おすすめの理由 | ・英語、数学、理科の評定平均が3.5以上であれば出願可能で、小論文・面接・口頭試問の対策のみでOK。
・倍率1.0台で、化学・物質工学科は併願可能な枠も設けられている。併願できる公募推薦をお探しの方に最適。 |
参照元:関西大学「2024年度 公募制推薦入学試験 入学試験要項」、入試結果 2023年度
国公立大学編
電気通信大学・情報理工学域・II類(融合系)・情報通信工学
主な出願書類 | ・調査書 ・推薦書 ・志望理由書 ・各類で定める分野におけるコンテスト等での賞状、成績表、資格証等の写し(任意) *Ⅱ類(融合系)… 理学、工学や情報学の基礎となる分野における国内外で開催される科学技術コンテスト等 |
---|---|
二次選抜の内容 | ・総合問題試験 ・面接試験 (理工系への適性および基礎的能力を問う内容を含みます) |
倍率(2023年度) | 1.6倍 |
おすすめの理由 | ・大学入学共通テストなど一般選抜で必要な試験が不要。
・全体の評定平均が4.0以上、または数学及び理科の評定平均が4.5以上であれば出願できる。 ・倍率も1.0台で狙い目。試験科目を理数系に絞って国立大を受験したい方に最適。 |
参照元:電気通信大学 学校推薦型選抜
一般選抜(一般入試)との両立について
次に、総合型選抜や公募推薦と一般選抜の両立について詳しく解説します。
理系の場合は一般選抜との併用は一般的
理系の総合型選抜や公募推薦を利用する受験生の多くは、一般選抜の受験対策と並行して総合型選抜や公募推薦の対策をします。
なぜなら、理系の総合型選抜や公募推薦を利用する人の中には以下のような方が少なくないためです。
- 浪人したくないので、総合型選抜や公募推薦を受けながらも一般の対策もしている。
- 元々は一般選抜で受験予定だったが、志望大学を受けるチャンスが増えるので挑戦をすることにした。
- 総合型選抜で滑り止めの合格を確保しておいて、より志望度の高い大学の一般選抜に臨む予定である。
現に、当スクールに通われた過去の理系の受験生の半数以上は総合型選抜・公募推薦の対策と並行して一般入試対策も行っていました。
理系の場合、総合型選抜・公募推薦と一般入試の両方を並行して対策するのが普通なのです。
また、志望大学・学部の受験チャンスが増えるから、という理由で受けてみるのも一般的です。
そのため、志望大学・志望学部が総合型選抜や公募推薦を実施しているのでしたら挑戦する価値があります。
一般選抜の対策は役に立つ事が多い
理系の総合型選抜や公募推薦では、筆記試験や口頭試問など、学部学科に関する学問知識を問う試験を実施している大学が多いです。
そのため、一般選抜の試験対策を行っていると、それが自然と総合型選抜や公募推薦の対策になることもあります。
こうした点からも、一般選抜と総合型選抜・公募推薦の両立はメリットがあると言えるでしょう。
例えば、2023年度の武蔵野大学の建築デザイン学科の総合型選抜では「英語、数学に関する口頭試問」が実施されます。そして、数理工学科の総合型選抜では「数学 I, II, A, B(数列・ベクトル)の範囲の質問」を実施するとされています。
参照元:令和5年度武蔵野大学面接を伴う入学者選抜における口頭試問内容について
参考記事:この大学の試験の全容の特集ページ
これらは一般選抜の試験範囲と同じため、一般選抜の対策をしていれば面接中に行われる口頭試問の対策は最小限で済みます。
このように一般選抜と総合型選抜、公募推薦の試験内容が共通している大学なら、異なる試験の対策も効率よく行えます。
両立の自信がないのなら得意な方に絞るのが有効
「一般選抜の対策が総合型選抜や公募推薦に役立つ」ことは事実ですが、一般選抜と総合型選抜・公募推薦では対策すべきポイントが変わるのも確かです。
総合型選抜や公募推薦では一般選抜にはない面接や小論文の対策、出願書類の作り込みが必須となるため、両立する場合は対策すべきものの量も増えます。
そのため、「一般選抜(または総合型選抜)に専念したい」、「自分の強みを活かせる総合型選抜や公募推薦の方が向いている」という方は、得意な試験に集中して取り組むのも一つの手です。
ここまで読んでみて、「私は一般選抜と総合型選抜とどっちが向いているのだろう?」と思った方は、以下の記事をご覧になってみてください。総合型選抜に向いている人、一般選抜に向いている人の特徴をそれぞれ詳しく解説しています。
▶︎一般選抜と総合型選抜(旧AO入試)ではどっちが難しいの?
多くの人が抱く疑問点とその回答
最後に、総合型選抜や公募推薦を利用する理系の方からよく寄せられる疑問をまとめて解説します。
同じ大学に一般受験との併願受験は出来るのか?
大学によって異なりますが、一般選抜との併願は可能なところが多いです。
というのも、募集要項の中に以下のような表記が見つからなければ、受験資格自体があるためです。
- 一般選抜での受験を予定する者は、当大学の総合型選抜・公募推薦への出願は出来ない。
- 「総合型選抜や公募推薦を受けた人は一般選抜への出願を認めない」。
- 出願可能な受験形式は、総合型選抜・公募推薦・一般選抜の中のどれか1つである。
なお、一般選抜との併願が可能かどうかについて募集要項を見ても分からない場合は、直接大学に問い合わせて確認すると良いでしょう。
総合型選抜や公募推薦で合格した大学を辞退できるの?
基本的に、出願資格の中に、「合格後必ず入学する」、「当大学・当学部への入学を確約できる者」といった条件がなければ、入学辞退は可能です。
ここでは例として、合格後の辞退ができない大学をいくつか挙げておきます。
国際基督教大学 |
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東京理科大学 |
|
明治学院大学 |
|
このような文言がなければ、辞退は原則可能です。
しかし、総合型選抜や公募推薦は「この大学・学部学科で学びたい」という強い意志を持った学生を選抜する制度であり、合格後に辞退することは望ましくありません。
併願する場合は、受験校をきっちり絞った上で出願しましょう。
おすすめの対策塾はどこなのか?
理系の総合型選抜や公募推薦の対策ができる塾としては、以下の3つが挙げられます。
- ホワイトアカデミー高等部
- 総合型選抜専門塾 AOI
- KOSSUN教育ラボ
なかでも、ホワイトアカデミー高等部は以下のようにサポート体制がとても充実しています。
- 「回数無制限の面接・小論文指導」
- 「授業時間帯を柔軟に設定可能」
- 「総合型選抜不合格時の一般選抜のサポートが可能」
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今回の内容のまとめ
今回は、理系学部・学科の総合型選抜・公募推薦の概要、入試のポイント、おすすめの大学などについて解説しました。
最後に、ここまで述べた内容のポイントをまとめます。
この記事で特におさえておくべきポイント
- 出願条件として、評定平均・履修科目・英語資格・学内外での活動実績などが設定されている
- 学外での活動実績や探究活動の実績、英検・数検・簿記などの資格が高く評価される
- 理系は、総合型選抜・公募推薦どちらも筆記試験や口頭試問を課す大学が多い
- 志望学部・学科に関する学問知識はしっかり勉強しておくことが重要
- 国・公立大学でも総合型選抜や公募推薦を使えば、共通テストの受験が不要な事もある。
- 一般選抜と試験内容が似ている大学・学部学科を選べば両立もしやすい
総合型選抜や公募推薦は、特定の学問に強い方や学外での活動実績がある方、志望する理由と大学で学びたいことがはっきりしている方には特におすすめです。
また、一般選抜のほかに第一志望の大学に挑戦できる大きなチャンスでもあるので、絶対に合格したい大学がある方はぜひ受験を検討してみましょう!
この記事の監修者:諏訪孝明
東京大学経済学部卒。学生時代・社会人時代と合わせると受験指導歴は約15年のベテラン講師。
過去受験指導をした生徒数は400人を超えており、東大・早慶・MARCHの合格者も多数。一般選抜だけではなく、総合型選抜・公募推薦の指導歴も豊富であり、旧AO入試時代と合わせると30名以上を担当。
2020年度に関しても公募推薦で上智大学に合格をした生徒の主担任を務め、奇跡の合格獲得を実現。当スクールの高大接続のビジョンに共感し、主任講師という形で当スクールの設立時より参画。