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今回は一芸入試についてご説明したいと思います。
まずはじめに一芸入試は、
- 「そもそも一芸入試って何なの?」
- 「AO入試との明確な違いが分からない」
- 「受けたいけれどどういった能力や実績が必要なのかわからない」
といった疑問を抱く人が少なくない入試方式です。
そこで今回の記事では一芸入試とは何かという所から、どのように受ければ良いのかといった点について解説します。
後半部位では合格しやすい人の特徴や受験時の注意点についても取り上げております。ぜひ最後までお付き合いください。
この記事を書いた人:竹内健登(たけうち・けんと)
東京大学工学部卒業。内定率100%の就活塾ホワイトアカデミーの創立者であり、ホワイトアカデミー高等部の校長。
自身の大学受験は東京大学に加えて倍率35倍の特別選抜入試を使って東京工業大学にも合格し、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。
高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると丸7年。現在は大学生の就活支援を通して培った書類添削スキルと面接指導力を武器に総合型選抜並びに公募推薦の指導を担当中。
倍率300倍を超える就活で確かな結果を出してきたメソッドを利用し、過去担当した高校生は全て志望校に合格させている。
目次
そもそも一芸入試とは何なのか?
一芸入試とは、学力試験による選抜ではなく受験者が持つ実績や志望理由などを元にして選考を決める入試方法です。
より詳しく説明しますと、英検や簿記といった資格や各分野のコンテストでの優勝経験などを用いて受験者が志望大学・志望学部にふさわしいかをアピールする事が求められる入試になります。
一般受験とは違い、学力ではなく受験生の好きな分野や得意な分野での実績並びにスキルで合否が決まります。そのため、何か得意なことや好きなことがある人にとっては相性が良い入試になります。
一芸入試の種類
今回の記事では、様々な分野がある一芸入試の中で特に見かけるスポーツ、文化・芸能、グランプリ、資格という4種類の一芸入試をご紹介します。
スポーツでの実績がある人向け
一つ目はスポーツ推薦です。一芸入試の中でも一番メジャーな種類と言えるでしょう。文字通りスポーツでの実績を持つ方にお勧めします。
スポーツ推薦の場合、受けることのできる学部・学科が限られる場合があります。
例えば、早稲田大学のアスリート入試はスポーツ科学部でのみ実施されています。
(参考:入試情報)
つまり、スポーツ推薦を利用する場合、進学先の選択肢が自ずと絞られてしまうのです。
しかもスポーツ推薦の場合、入学後もそのスポーツを続けることが求められます。そのため、入学後の大学生活も部活が中心になる可能性があります。
ちなみにスポーツさえできればスポーツ推薦が受かるわけではありません。実は難関大学では評定平均や小論文が求められる事は少なくありません。
そのため、あなたに受験資格があるかどうかについては、しっかり入試要項を確認してみてください。スポーツ推薦で求められる事や攻略法については以下のページでより詳しくまとめております。
文化・芸術活動に優れた人向け
二つ目は、文化・芸術・社会活動選抜です。
演劇や書道、弁論といった文化的な活動や、ボランティア・地域の町おこしといった社会活動を行ってきた人向けの入試方法です。
そのため、高校で吹奏楽部、演劇部といった文科系の部活動に所属していた人の中で何らかのコンクールや大会で実績をあげた人にぴったりです。
文化・芸術・社会活動選抜の試験例の1つに龍谷大学の文化・芸術・社会活動選抜という総合型選抜があります。
龍谷大学の文化・芸術・社会活動選抜型の総合型選抜では出願時に以下のいずれかにおける顕著な実績が求められます。
出願時に求められる実績
- 芸術活動
- ボランティアなどの社会活動
- 文化活動
- 特技
- 各種の検定
熊谷大学のように文化活動や芸術活動や社会活動を行ってきた人向けの入試を実施している大学は少なくありません。
ただし、文化活動や芸術活動や社会活動は成果や結果を証明できなければ強みとして話しづらいです。
そのため、わかりやすく成果を数字で説明できるようにしたり、コンクールに出品し、成果を残す事が重要です。
活動実績をきちんと伝えられるかどうかで評価が大きく変わる点を押さえておきましょう。
グランプリ参加歴や入賞歴がある人向け
三つ目は数学オリンピック入試などのグランプリ参加歴や入賞歴がある人向けの入試です。
何かの分野でコンテストやグランプリに参加・入賞経験があれば、ぜひ受けてみて欲しい入試方法です。
結果があればわかりやすい活動実績となるので合格へのチャンスがぐっと高まります。
一例としては、早稲田大学の理工学部が実施している数学オリンピック入試があります。(参考:2023年 4月入学 早稲田大学先進理工学部 「特別選抜入学試験」 入学試験要項)
数学オリンピック入試は数学オリンピックに参加をし、大学が定める条件の結果を出した人だけしか受けられません。
出願条件が厳しい分、出願者は少ないので、出願資格を持てば合格しやすい特徴があります。
参考までに2022年度に実施された早稲田大学の先進理工学部の数学オリンピック入試の倍率は1倍です。(参考:2022年度 入試結果)
受ける資格を持ち、受ける事が出来た人が全員合格しているのはすごいですよね。
グランプリ参加歴や入賞歴が求められる試験は出願条件は厳しいですが、その分出願者が少なくなるので倍率は低くなりやすいです。そのため、出願条件を満たしているのであれば、挑戦を検討してみる価値はあります。。
資格保有者向け入試
四つ目は資格保有者向け入試です。
何か特定の分野の資格を持っている人におすすめの入試方法です。
指定された資格を持っている人だけが受けられる類の入試です。
資格保有者向け入試の一例としては、滋賀大学の昼間主コース【資格・検定型】の総合型選抜があります。
滋賀大学の昼間主コース【資格・検定型】の総合型選抜では出願条件として英語検定1級を含めて以下の中の7つ以上に合格が求められます。
①珠算・電卓実務検定試験1級(そろばん)
②珠算・電卓実務検定試験1級(電卓)
③簿記実務検定試験1級
④ビジネス文書実務検定試験1級
⑤英語検定試験1級
⑥情報処理検定試験1級(プログラミング部門)
⑦情報処理検定試験1級(ビジネス情報部門)
⑧商業経済検定試験1級
⑨会計実務検定試験「財務諸表分析」「財務会計」「管理会計」のうち2科目以上に合格
非常に出願条件が厳しいですよね。滋賀大学に限らず、資格保有者向けの入試は出願時のハードルが高いので、出願できる人なら目をつける価値があります。
総合型選抜(旧AO入試)とは何が違うのか?
一芸入試との違いが良くわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今から一芸入試と総合型選抜(旧AO入試)は何が違うのかについて詳しく説明します。
決定的な違いは自分の特技ありきか学問ありきか
総合型選抜と一芸入試の一番の違いは、学問や大学に求める人物像をアピールポイントにするか、自分の特技をアピールポイントにするかです。
総合型選抜は以下のような複数の項目の総合点で合否が決まる入試方式です。
- アドミッションポリシーに受験生が適しているか
- 大学が求める基礎学力はあるのか
- 入学後の学びへの関心はあるのか
そのため、総合型選抜では受験した大学に「うちの大学に合いそう」と思ってもらう事が欠かせません。
一方で一芸入試は学力というよりも、受験生が持つ特別な才能を評価するものです。
そのため、一般的な総合型選抜よりも活動実績が重視される、という点を押さえておきたいところです。
混合されている受験方式も実は多い
一芸入試と混同されやすい入試を実施している大学も実は少なくありません。混合されやすい入試の特徴の1つに書類審査の段階では、一芸は明らかに優遇されるものの合否を決めるほどは重視されない傾向があります。
一例としては慶應義塾大学の自由応募入試があります。
慶應義塾大学の自由応募入試は、指定されたコンテストへの所定の成績を収めている場合、一次選考である書類審査は免除されます。
しかし、二次選考の面接や高校時代の学業なども選考基準に含まれるので、一芸を持っているだけでは合格することが出来ません。
ここが一芸入試と違うポイントとなります。
慶應義塾大学の自由応募入試の受験概要はこちら。
一芸入試を導入している有名な大学の一例と受験情報
次に一芸入試を導入してい大学の例をご紹介します。是非参考にしてみてください。
亜細亜大学の一芸一能入試
亜細亜大学の一芸入試一能は以下のいずれかにおいて、実績のある人が対象となっています。
- 芸術・芸能
- 競技
- 学術・学芸
- 資格
- 社会的活動
- スポーツ
- 上記の6つに準ずる何か
ただし、実績だけで受かるわけではありません。活動実績に加えて800字の小論文、面接、書類選考で合否が決まります。
参照元:一芸一能入試(令和5年度)
立命館大学の文化・芸術活動に優れた者の特別選抜入学試験
次にご紹介するのは立命館大学の「文化・芸術活動に優れた者の特別選抜入学試験」です。
立命館大学の一芸入試では、以下のような分野で世界大会や国際大会、全国大会に出場、入賞した実績がある人が対象です。
受験時に必要な実績
- バトントワリング
- かるた
- 吹奏楽
- 囲碁
- 将棋
- チアリーディング
活動実績のほかに書類選考、面接、小論文で合否が決まる形式となっています。
早稲田大学のトップアスリート入試
早稲田大学のトップアスリート選考は、スポーツの分野において大会に入賞したり、大会に出場した活動実績がある人が対象です。
詳細は下記のURLからご確認ください。
⇨2023 年度 総合型選抜I群(トップアスリート入学試験) 事前セミナー申込要項
出願時にはスポーツ分野における主な競技実績が求められます。
そのため、スポーツ分野で実績がないと出願も難しいです。
倍率に関しては、2022年度は11人が志願して6人が合格と約1.8倍の水準です。倍率が低いので、スポーツで十分な実績があるのでしたら目指す価値はあります。
参照元:2022年度 入試結果
一芸入試と相性が良い人の特徴
次に一芸入試と相性の良い人の特徴を紹介します。一般的には以下のような人が向いていると言えます。
一芸入試と相性の良い人の特徴
- 他の高校生が持っていないような資格を持っている。
⇒資格を持っているだけで入れる大学があるからです。 - 人より優れた特技がある。
⇒活動実績があれば、それだけで受かる可能性があるからです。 - 何かの分野で全国レベルの大会に出場したことがある。
⇒全国大会に出場したという活動実績で合格できる確率が上がるためです。 - 勉強は苦手だけど、他の高校生ではなかなか経験していない活動実績がある。
⇒一芸入試はAOに比べ、学力が重視されていないので、成績が悪くても実績があれば合格できる事が多いからです。 - 今まで長い期間打ち込んできたものがある。
⇒しっかりとした活動実績があれば、一芸入試では高い評価を受けるためです。
一芸入試を受ける際の注意点
次に一芸入試を利用する際に念頭に置いておきたい4つの注意点を紹介します。
けん玉だけが出来れば合格は過去の話
以前はけん玉で合格できるケースもありましたが、最近では活動実績や一芸だけでは合格できなくなっています。
なぜなら、活動実績や書類選考のほかにも、小論文や面接なども選考に影響するからです。
例えば、亜細亜大学の一芸入試でも800字の小論文と面接が課されています。
参照元:一芸一能入試(令和5年度)
このように一芸以外も合否の評価の対象になるため、しっかりと対策を取らなければなりません。
けん玉をはじめとした何か1つの特技さえあれば、無条件で受かる、という事は現在は基本的にはない、という事を押さえておきましょう。
一定の評定平均が求められる事が多い
一定の評価平均が求められることもあります。
一芸一能入試はAO入試に比べて、学力が重視されていません。
しかし、最近は出願時に評定平均を求める大学が増えてきました。
例えば、日本体育大学の以下の学部のスポーツ推薦を利用する場合、全体の評定平均が3.0以上であることが求められます。
一定の評定平均が求められる学部一覧
- 体育学部
- スポーツ文化学部
- スポーツマネジメント学部
- 保健医療学部
- 児童スポーツ教育学部
参照元:スポーツ推薦
つまり、評定平均が3.0未満であれば出願すら出来ないのです。
そのため、一芸入試を利用する際にも受ける大学によっては一定の評定平均が必要になる事は知っておきましょう。
出願できる大学の選択肢が狭まる
出願できる大学の選択肢が狭まるという注意点があります。
そもそも一芸入試を行っている大学は少ないですし、行っていたとしてもすべての学部で行っている大学は少ないです。
ほとんどの大学では特定の学部・学科のみでしか行っておりません。それに受験生であるあなたの一芸で出願できるかどうかも大学次第です。
例えば全国大会ベスト8が一芸の目安の場合、全国大会に出ただけの人では出願が難しいと言わざるを得ません。
結果として、一芸入試にこだわる場合、出願できる大学の中であなたの行きたい大学を探す事になります。
今ご紹介しましたように一芸入試を利用すると進学先の選択肢が狭まる可能性がある事は押さえておきましょう。
入学後に苦労する事も少なくない
一芸入試は他の入試方法に比べて学力をそこまで重視していません。
そのため、入学後に大学が求めるレベルの学力が無いことが発覚し、苦労する事は珍しくありません。よくある苦労の一例は以下の通りです。
- 「授業についていくのが難しくなり、留年をしてしまう」
- 「周りについていけない劣等感から中退をしてしまう」
そのため、一芸入試を使って合格をした場合は、周りの同級生よりも勉強を頑張る必要がある事は覚悟しておきましょう。
よくある疑問点
次に一芸入試に興味がある方がよく抱く疑問点を解説します。
自分の特技は一芸入試で利用できますか?
あなたの特技が入試で利用できるかどうかは、大学次第です。
そのため、以下のようなポイントで調べてみてください。
特技が入試で利用できるか判断するポイント
- あなたが持っている特技をいかせる大学はどこなのか探す。
- 行きたい大学の入試を調べ、あなたの特技を活用できるかどうか調べる。
是非志望大学の入試要項を確認してみてください。
一芸だけあれば本当に受かるんですか?
一芸だけで受かることは基本的にはありません。
なぜなら、活動実績以外にも、書類選考、小論文、面接といった複数の項目を合否判定の項目にしている大学が多いためです。
そのため、活動実績に自信を持ちすぎず、小論文を時間内に書き終える練習や面接の対策といった事にも取り組む事が必要になります。
芸能活動をすれば合格できますか?
最近では高校生で芸能活動を行っている人も多く、芸能活動で一芸入試に受かるケースもあります。そのため、芸能活動は一芸入試で評価されることはよくあります。
しかし、活動の内容が大学が評価する内容であるかどうかが重要です。
つまり、芸能活動をやっているからといって受かるわけではないです。
しっかりと志望校の入試要項を確認して、入試の目的やアドミッションポリシーを確認してみましょう。また、活動実績にだけ力を注ぐのではなく、面接や小論文対策にも手を抜かずに取り組みましょう。
今回の内容のまとめ
今回は一芸入試について特集してきました。改めてここまでの内容のポイントまとめましたのでご覧ください。
重要なポイント一覧
- 一芸入試は、学力試験による選抜ではなく受験者が持つ実績や志望理由などを元にして選考を決める入試方法
- スポーツ推薦や文化・芸術・社会活動選抜など様々な分野の一芸入試がある
- 一芸入試とAO入試の決定的な違いは、自分の特技をアピールするか、学問ありきでその大学にふさわしいかを自己アピールするか
- 資格を持っている人、勉強は苦手だけど他の高校生にはなかなかできない経験をしている人、優れた特技を持っている人などが一芸入試に適している人である。
- 一芸入試を使う場合、出願できる大学が縛られたり、入学後に苦労する事も少なくない。
- 小論文や面接も合否の判定項目に入るので一芸があるだけでは受かるとは限らない。
- 芸能活動をやれば無条件で受かる入試ではない。
ここまでの内容をご覧いただき、一芸入試と相性がよさそうでしたらぜひ積極的に利用してみてください。
一方で一芸入試との相性がいまいちと思われましたら一芸入試ではない総合型選抜の利用を検討すると良いでしょう。
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この記事の監修者:諏訪孝明
東京大学経済学部卒。学生時代・社会人時代と合わせると受験指導歴は約15年のベテラン講師。
過去受験指導をした生徒数は400人を超えており、東大・早慶・MARCHの合格者も多数。一般選抜だけではなく、総合型選抜・公募推薦の指導歴も豊富であり、旧AO入試時代と合わせると30名以上を担当。
2020年度に関しても公募推薦で上智大学に合格をした生徒の主担任を務め、奇跡の合格獲得を実現。当スクールの高大接続のビジョンに共感し、主任講師という形で当スクールの設立時より参画。
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