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推薦入試と一口にいっても指定校推薦、公募推薦、その他といった形で複数の入試形式があります。それぞれの入試形式で問われる内容が異なる以上、どの形式の入試を利用するかで合格の難易度も行うべき準備も変わります。
しかし、はじめて受験をする身となれば各入試の違いは分からないと思いますし、どれが自分に向いているのかも分からないはずです。
何を隠そう昨年度の私の生徒の女の子も高校3年生で推薦入試の利用を考え始めた時には違いを全く理解していませんでした。
その経験をもとに、今回の記事では推薦入試の中でも特に多くの受験生が利用する指定校推薦と公募推薦の違いについて解説します。
ざっとでも目を通せば指定校推薦と公募推薦では何が異なるのか、そしてどちらがあなたに合うのかが分かりますので是非最後までお付き合いください。
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2種類の推薦入試の違い一覧表
まずはじめに公募推薦と指定校推薦はどちらも推薦入試でありながらも明確な違いがある事をご理解頂くために両者の相違点を一覧にしてみました。
公募推薦 | 指定校推薦 |
---|---|
メリット | |
学力以外の面も評価対象になる | 校内選考に通れば合格が確実 |
デメリット | |
・事前準備に時間を要する ・合格の保証がない |
推薦枠がある大学しか受けられない |
不合格の確率 (合格倍率) |
|
60%~80% (2.5倍~5倍の倍率が多い) |
落ちることはほぼ無い |
問われる項目 (試験内容) |
|
・自己推薦書 ・志望理由書 ・事前課題 ・小論文 ・学科試験 ・面接 ・その他 |
・志望理由書 ・自己推薦書 ・面接 ・大学によっては小論文もあり |
合否の鍵 | |
・評定平均 ・課外活動の実績 ・英検の有無 ・当日の面接の印象 ・当日の小論文の出来 ・提出書類の出来 ・大学とのマッチ度 |
・評定平均と学校生活態度 ・当日遅刻しない事 ・面接や提出書類で大きな失態をしない事 |
併願について | |
原則不可 (*一部の大学は認めている) |
不可 |
その他の特記事項 | |
多く大学で小論文と面接が科される | 校内選考に受かれば基本的には合格する |
向いている人 | |
・学部学科に入りたいという強い意志のある人
・課外活動の実績がある人 ・人前で話すのが得意な人 |
定期テストの点数が高く、真面目に学校生活を送ってきた人 |
そもそも公募推薦とは?
次に公募推薦がどんな推薦入試なのかをご理解いただくために公募推薦の全容についてご紹介します。
試験形式の全体像の説明
公募推薦は大学の出願条件を満たし学校長の推薦状があれば応募できる推薦入試です。
出願書類の準備は大変
条件を満たしている人なら誰でも出願可能ですが、準備すべき課題や書類が多くあるため出願には一定の準備が欠かせません。
そして出願時には調査書・評定平均・資格・検定のスコア・自己推薦書・志望理由書などの提出が求められます。
大体1,000~2,000字程度の書類提出を要求するため、準備には時間がかかります。それに提出書類の出来は合否に関わる以上、自分をアピール出来る資料に仕上げる事が欠かせません。
出願後には二次選抜がある
出願後には二次選抜があります。二次選抜で問われる試験内容としては小論文や面接などが一般的です。
公募推薦では小論文の比重が大きいため、日頃から世の中の出来事に関心をもち、自分の意見を書けるよう練習することが重要です。
昨年度の私の生徒は以下の本を読みながら毎日対策をすることで何とか乗り越えたのでよかったら利用してみてください。
⇒株式会社新聞ダイジェスト社出版2020一年3月増刊号最新時事用語&問題
また公募推薦では一般入試と違い学力試験が課されるケースは少ないです。
しかし、志望する大学によっては学科に特化した試験を科すケースもあります。そのため、学科試験がある大学を受けるのでしたら過去問を入手して早めに準備に取り組みたいですね。
公募推薦には2種類の推薦形式がある
公募推薦といっても、公募制特別推薦と公募制一般推薦という二つの種類があります。
公募制特別推薦とは?
前者の公募制特別推薦というのは、文化活動やスポーツにおいて優れた実績を残した人が出願できる推薦形態です。
評定平均の提出を求めない大学が多く、幅広い分野での実績が評価されます。私立はもちろん、国立でいうと筑波大学などもこの入試を取り入れています。
公募制一般推薦とは?
一方、公募制一般推薦とは大学の出願条件を満たし学校長の推薦状があれば応募できる推薦入試です。
私立だけでなく多くの国立大学などもあり私立、国立問わず多くの大学が取り入れている入試形式です。
求められる内容としては評定平均の提出、資格・検定のスコアの提出、調査書・自己推薦書や志望理由書の用意、小論文、面接などがあります。
向いている人の特徴として、将来具体的にやりたいことや学びたいことがきちんとある人が挙げられます。公募推薦に向いている人のより詳しい特徴については以下のページでまとめているのでご興味があればどうぞ。
公募推薦のメリット
次に公募推薦を利用する3つのメリットをご紹介します。
受験回数が増える
公募推薦入試を受ける事で受験回数が増えます。受験回数が増える以上、合格するチャンスが増えます。
そのため、一般入試しか考えていない人でも公募推薦を受けるチャンスがあるならチャンスを増やすと言う意味で受験する価値はあります。
学力以外の面も評価対象になる
公募推薦は一般選抜では厳しいような大学にも合格が出来るチャンスがあります。
なぜなら、公募推薦は一般選抜と異なり、高校生活の過ごし方や提出書類の質など複数の観点から合否が出るためです。中でも部活動や生徒会活動を頑張ってきた人や面接が得意な高校生にはチャンスがあります。
学びたい熱量が評価される
基本的に公募推薦では面接試験や事前課題等で志望理由が聞かれます。
志望理由を明確に表すことで大学に自分の熱意を伝えることができます。一般入試では志望動機など聞かれることはまずないため、学びたい意欲が評価されるのは公募推薦ならではのメリットになります。
公募推薦のデメリット
先ほどは公募推薦のメリットについてご紹介しましたので次は公募推薦のデメリットについてご紹介します。
事前準備に時間がかかる
これまでの文章を読んでいてもわかるように提出書類が多い事が公募推薦の難点です。
書類作成は順調に進んでも1ヶ月から2ヶ月程時間を要するため、一般受験に向けた対策の時間を十分に確保することはできません。早めに書類作成に取り掛かりましょう。
基本的に合格すれば進学しなくてはいけない
公募推薦を実施している大学の多くは専願受験制を採用しております。専願受験制というのは合格をしたら原則として入学が義務付けられる事を指します。
つまり、ひとたび公募推薦に合格をしてしまうと一般受験でより難易度が高い大学に受かっても進学が出来ません。そのため、公募推薦を利用する場合、合格したら入学を確約できる大学に出願することを心がけたいですね。
対策が難しい
公募推薦で課される小論文や学科試験、面接等は高校で学ぶ一般受験用の5教科7科目とは明らかに異なる一面があります。
加えて多くの高校では推薦入試に特化した授業がない上に小論文の授業がないこともあります。そのため、公募推薦を利用するのでしたら対策が非常に大変です。
自力での対策に自信がないのでしたら推薦対策の専門塾に入塾する事や担任の先生に小論文や提出書類の添削を自主的にお願いする事をおすすめします。特に塾の利用はおすすめですので本気で合格したいのでしたら利用を検討したいところです。
必ずしも合格するとは限らない
公募推薦の合格率は20%〜50%と決して高くはありません。例えば同志社大学の社会学部|社会福祉学科の2020年度の倍率は2.8倍です。
つまり、28人受けて10人が受かる計算なので合格率は36%です。それに公募推薦で入りやすいと言われる上智大学でも多くの学部の倍率は2倍以上なので合格率は50%を切ります。
公募推薦は推薦入試の一種とは言え、必ず受かるわけではありません。
落ちる可能性があり、落ちると公募推薦の合格のために対策をした提出書類の作成時間や面接練習などの時間が無駄になってしまうのは見逃せないデメリットになります。
公募推薦の難易度や倍率については以下のページでまとめているので合格率や合格を勝ち取る難しさについてご興味があれば是非ご覧ください。
一般選抜と比較した上での公募推薦の難易度を大公開
指定校推薦とは
次に指定校推薦がどんな推薦入試なのかについてご紹介します。
指定校推薦の全体像
指定校推薦は大学側から指定を受けた高校で校内選考を突破した生徒のみが出願でき、定員が少数の推薦入試です。
先ほどご紹介した公募推薦は学校長からの推薦状があれば誰でも出願できますが、指定校推薦の場合は高校側に推薦枠がないと出願が出来ません。
それに仮に志望大学の推薦枠が高校にあったとしても校内選考に通過をして高校側に推薦をしてもらえる人物として選ばれないと出願は出来ません。
合格の鍵は校内選考に通る事
校内選考が合否を分けるといっても過言ではありません。理由は校内選考に通らないと高校に推薦してもらえないためです。
そして校内選考では必ず評定平均が見られますので評定平均が高い人は校内選考では有利です。ただし、校内選考では課外活動の有無や課外活動の実績も見られるので評定平均が一番高い人が選ばれるとは限りません。
そのため、勉強以外にも積極的に取り組んで自分のアピールポイントを増やしましょう。評定平均が高くなくても校内選考に通るケースについては以下のページでご紹介しているのでご興味があればどうぞ。
指定校推薦のメリット
次に指定校推薦の主な3つのメリットについてご紹介します。
自分の学力以上の大学に進学することができる
指定校推薦では現状の学力に関わらず校内選考に選ばれれば偏差値の高い難関大学に進学が可能です。
なぜなら、指定校推薦は高校と大学の信頼関係で成り立っている以上、高校側が推薦をした生徒は基本的には合格が保証されるためです。
そのため、全国模試の偏差値が45を切っている生徒であっても評定平均が高く校内選考を勝ち抜けば偏差値60を超えるMARCHのような難関大学に受かるチャンスもあるのです。
年内に合否がわかる
指定校推薦の場合、合否結果は12月中には発表されます。無事に合格を確認し、入学手続きをすれば翌年の4月までの時間を自分の好きな事に充てることができます。
それに物件探しなども早めに行うこともできますので一人暮らしをする人にとっては非常に都合が良いです。
何といっても合格率が高い
指定校推薦は大学と高校の信頼関係によって枠が与えられているため、基本的に不合格になる事はありません。
受験生が何より1番欲しいものは合格と言う二文字です。家庭の事情等で浪人をすることが許されない場合は指定校推薦を使って受験するのは理にかなった選択と言えることでしょう。
ただし、指定校推薦に合格した後に学校で大きな問題を起こしたり、高校の留年が決まると合格が取り消されます。合格後の生活には気を配りましょう。
例外的に指定校推薦で落ちるケースについては以下のページでまとめているのでご興味があればどうぞ。
指定校推薦のデメリット
次に指定校推薦の主な2つのデメリットをご紹介します。
校内選考に漏れることがある
指定校推薦の欠点として募集定員が少ない事が挙げられます。ライバルの中に評定平均が0.1高い人や活動実績が優れている人がいると推薦枠を奪われてしまう事があります。
そのため、積極的な課外活動の参加や多くの先生方に絶対にこの大学に行きたいと早めにアピールをしておきましょう。
自分の行きたい学部が少ないことが多い
実は指定校推薦の募集枠の中にあなたが本当に行きたい大学がなかったり、行きたい大学の募集枠があっても興味がある学部の枠がないことも少なくありません。
そのため、指定校推薦を使って大学への進学を考えているのでしたら高校側に案内が来ている大学の募集枠を全て確認しましょう。
仮に第一志望の大学の募集枠がない場合は敢えて指定校推薦を使わず、公募推薦に切り替える、という選択を選ぶ事を考える価値があります。
各推薦入試で合格を勝ち取るための対策内容の違い
次に公募推薦と指定校推薦で合格を目指すのならぜひとも実施したい対策内容を公募推薦⇒指定校推薦の順番でそれぞれご紹介します。
公募推薦の合格のためにやるべきこと
公募推薦で志望大学の合格を目指すのでしたらこれから紹介する3つの対策を行うことをおすすめします。
- 日頃から自分の行きたい大学・学部に関する情報の取得する
- 自分と向き合う時間を多く持つ
- 小論文対策を早めにスタートする
それぞれの詳細については1つずつご紹介します。
日頃から自分の行きたい大学・学部に関する情報の取得する
推薦入試は大学によって求めている学生像が異なります。同じ学部でも入学後のカリキュラムが異なれば自分が学びたい学問を学べません。
それに新型コロナウイルスの影響で試験内容を従来の形式から大幅に変更している大学も多数あります。そのため、自分の行きたい大学・学部に関する情報は常に集めるようにしましょう。
自分と向き合う時間を多く持つ
公募推薦で合格するには志望大学で学びたい意欲や大学が求めている人材と自分がどれだけマッチしているかのアピールが欠かせません。
そのため、なぜ自分がこの特定分野の勉強を行いたいのか、大学で学んだあと社会にどう活かしたいのか、という点については明確な理由を答えられるようにしましょう。
小論文対策を早めにスタートする
公募推薦の合否結果において小論文の出来は非常に大きな要因になります。そのため、何度も練習をこなすことで本番当日に最大限の力が発揮できるように対策をしたいですね。
また、どんな内容が提示されても対応できるよう、学部に関する議題のみならず世界で起こっている様々な時事問題にも目を向けて自らの意見を書けるにしておく事も重要です。
指定校推薦の合格のためにやるべきこと
次に指定校推薦の合格を勝ち取るために行いたい対策をまとめてみました。
- 苦手科目を作らず、学校の定期テストの点数をしっかりと取る
- 学校生活を真面目に過ごす
それぞれの内容についてご紹介します。
苦手科目を作らず、学校の定期テストの点数をしっかりと取る
評定平均を高くするためには定期テストの点数を上げる事が欠かせません。
そこで苦手科目であっても逃げずに勉強したり、先生に質問をして不明な点を減らしましょう。そして最低でも5段階で4をもらえるくらいの点数を定期試験で取るようにしたいですね。
また、評定平均を高めるためには提出課題を期日通りに出したり、授業の態度も重要なので意識したいですね。最終的には全教科平均で4.6以上は目指したいところです。
学校生活を真面目に過ごす
指定校推薦を狙っている人の多くは評定平均が5段階評価のうち4.5以上はあると考えたほうがいいでしょう。
校内選考は高い評定平均を取得している学生同士で競うことになる以上、評定平均の差はそこまで大きなポイントになりません。その一方で遅刻の回数が多い人や学校生活の態度に課題がある人は非常に不利です。
わずかなマイナス面が校内選考の合否に関わる以上、真面目な学校生活を送ることが望ましいです。
公募推薦と指定校推薦の併用受験はできるのか
指定校推薦と公募推薦が別物であることはわかったと思いますが、両者の併用ができるのかについては気になるかもしれません。
結論から言うと基本的には公募推薦も指定校推薦も専願としている大学が多いため併願受験は基本的には出来ません。
しかし、どちらかに落ちた後にまだ出願が出来るようでしたら落選後に出願をすることはできます。
例えば指定校推薦の校内選考の結果が出た後にまだ出願期限が閉め切られていない公募推薦を実施している大学があるとします。このケースでは校内選抜に落ちた後でしたら出願するチャンスはあります。
指定校推薦も同様で公募推薦で受験をしたものの結果は不合格になった時にまだ推薦枠が残っていれば申し込むことが出来ます。
つまり、同時に出願する形での併用受験は難しいですが、落ちた後でしたら受験するチャンスはあるのです。
このページのまとめ
今回は公募推薦と指定校推薦の違いについて解説してきました。色々な情報をご紹介してきましたのでこれまでの内容の整理のためにも改めて両者の相違点をまとめてみました。
公募推薦 | 指定校推薦 |
---|---|
合否のポイント | |
以下の総合点
・評定平均 |
校内選考に通る事 |
受験可能な大学 | |
学校長からの推薦をもらえば基本的にどこでも受けられる | 高校に来た募集枠の大学のみ |
合格のための対策 | |
・評定平均を高める ・小論文の対策をする ・英検の取得をする ・課外活動の実績を作る ・面接の練習をする ・大学への志望度を高める |
・評定平均を高める ・課外活動も頑張る ・皆勤賞を目指す |
合否の倍率について | |
大学による 通常は20%~50% |
校内選考に通れば100% |
最後になりますが、公募推薦と指定校推薦のどちらを使うべきかを考える際にポイントになるのが評定平均と学内の推薦枠です。
評定平均に自信があり、行きたい大学の推薦枠があるのでしたら校内選考に通れば基本的には合格が確約されている指定校推薦がおすすめ。
逆に行きたい大学の推薦枠がなかったり、自分よりも評定平均の高い人と校内選考の枠を争うことになるのでしたら公募推薦を利用するのが無難です。
以上の内容を押さえて自分にあった推薦形態で入試に取り組んでみてください。この記事をきっかけに、選択の幅が広がれば嬉しいです。
最後に公募推薦の勉強や対策はいつから始めるべきかについてまとめているページをご紹介しますのでご興味があればどうぞ。
推薦入試
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