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今回は、最難関私大として名高い慶應義塾大学で実施している総合型選抜並びに推薦入試の特徴や対策方法について解説します。
1万字を超える長い記事になるため、はじめにこの記事で紹介している内容のポイントを簡単にまとめました。
今回の記事で取り上げる主な内容
- 慶應義塾大学の総合型選抜・推薦入試の特徴
- 2023年度(昨年度)の各学部の倍率
- 各学部の募集要項や出願条件
- 学部や入試方式ごとの対策方法
- おすすめの併願受験先
- 慶應義塾大学の総合型選抜受験者がよく抱く疑問への回答
慶應義塾大学は、全国から優秀な受験生が集まり競い合う国内トップレベルの私立大学。
今記事をお読みになっている方の中には、「昔から慶應に憧れていた」、「どんな選抜方法でもいいから入学したい」という受験生の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事は、以下に当てはまる方々にぴったりの内容となっています。
こんな方には特におすすめ
- どうしても合格したいので、総合型選抜や推薦入試の利用も検討している
- 慶應義塾大学に総合型選抜や推薦入試があるのか知りたい
- 合格したいので、どうやって対策すればいいか知りたい
一つでも該当する方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
慶應義塾大学の総合型選抜(旧AO入試)・推薦入試とは?
まずは、慶應義塾大学が実施している総合型選抜と推薦入試の種類、実施学部、そして合格倍率等をご紹介します。
総合型選抜・推薦入試は3種類の方式がある
慶應義塾大学の総合型選抜・推薦入試には、「自主応募制による推薦入学者選考」、「FIT入試」、「AO入試」という3種類の選抜方式があります。
それぞれの選抜方式を実施している学部を表にまとめました。
方式 | 対象の学部 |
---|---|
自主応募制による推薦入学者選考 | 文学部 |
FIT入試 | 法学部 |
AO入試 |
・理工学部 ・総合政策学部 ・環境情報学部 ・看護医療学部 |
慶應義塾大学にある10学部のうち、総合型選抜・推薦入試を実施しているのは6学部です。
これらの学部が第一志望の方は、ぜひ総合型選抜・推薦入試の受験を検討しましょう。
それぞれの選抜方式の特徴は、このようになっています。
方式 | 内容 |
---|---|
自主応募制による推薦入学者選考 | いわゆる公募推薦。
評定平均が4.1以上の現役生であれば、誰でも出願可能。 |
FIT入試 | 学科試験を課さない総合型選抜。
学業・課外活動の優れた実績が出願条件のA方式と、評定平均が出願条件のB方式がある。高卒生も出願可能。 |
AO入試 | 書類選考と面接試験で合否を決める総合型選抜。
各学部が定める評定平均などの条件を満たしていることが必要。理工学部以外は高卒生の出願が可能。 |
AO入試の出願条件は各学部で異なります。学部ごとの詳しい出願条件を知りたい方は、該当する学部のページをご参照ください。
参考リンク:慶應大学公式サイト:学部入学案内
2023年度の慶應義塾大学の各学部の総合型選抜の合格倍率
2023年度入試の総合型選抜・推薦入試の合格倍率を、学部・学科ごとに一覧にしました。
受験する学部を検討中の方やA方式とB方式のどちらで出願するか迷っている方は、こちらを参考にしてみてください。
学部 | 学科 | 志願者 | 合格者 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
文学部 | 人文社会学科 (哲学系、史学系、文学系、図書館・情報学系、人間関係学系) |
260 | 121 | 2.1 |
法学部 | 法律学科(A方式) | 221 | 41 | 5.4 |
法律学科(B方式) | 144 | 63 | 2.3 | |
政治学科(A方式) | 231 | 43 | 5.4 | |
政治学科(B方式) | 149 | 66 | 2.3 | |
理工学部 |
・物理学科 ・物理情報工学科 ・電気情報工学科 ・機械工学科 ・情報工学科 ・システムデザイン工学科 ・数理科学科 ・管理工学科 ・化学科 ・応用化学科 ・生命情報学科 |
8 | 2 | 4.0 |
総合政策学部 | 総合政策学科 | 664 | 102 | 6.5 |
環境情報学部 | 環境情報学科 | 533 | 107 | 5.0 |
看護医療学部 | 看護学科(A方式) | 64 | 4 | 16.0 |
看護学科(B方式) | 36 | 4 | 9.0 |
参照元:文学部、法学部、理工学部、総合政策学部・環境情報学部、看護医療学部
慶應義塾大学の総合型選抜の倍率は、最も低い文学部でも2.1倍です。
倍率5倍以上の学部も多く、全体的に合格難易度は高いでしょう。
文学部の選考日程と募集要項のポイント
ここからは、文学部で実施している「自主応募制による推薦入学者選考」の概要や出願条件、合格するためのポイントを解説していきます。
募集要項の概要と出願条件
出願期間 | 【1】オンライン申請…2023年10月13日(金)~11月6日(月) 【2】出願書類の郵送…2023年11月1日(水)~11月6日(月) ※1と2両方の手続きが必要 |
---|---|
試験日 | 2023年11月23日(木・祝) |
試験会場 | 日吉キャンパス |
合格発表日 | 2023年11月29日(水) |
出願時の主な提出書類 |
・志願確認票 ・調査書 ・評価書 ・自己推薦書 |
試験内容 |
・総合考査I(小論文形式。各種資料に対する理解力、文章構成・表現力、分析力等を総合的に考査) ・総合考査II(与えられたテーマに対する記述) |
募集人数 | 120名 |
出願時必要最低評定平均 | 4.1以上 |
倍率 (2023年度) |
2.1倍(「2023年度 文学部自主応募制による推薦入学者選考 選考結果」参照) |
特筆すべき出願内容 (一部抜粋) |
特になし |
参照元:「2024年度 慶應義塾大学 文学部 自主応募制による推薦入学者選考 募集要項」
対策のポイント
慶應義塾大学の文学部に総合型選抜で合格するためのポイントは、以下の4つです。
- できるだけ高い評定平均をとる
- 自己推薦書を作り込む
- 文法ミスのない英作文を書けるよう練習しておく
- 小論文や記述の演習をたくさん行う
それぞれ詳しく解説します。
できるだけ高い評定平均をとる
文学部の総合型選抜では、出願条件として全体の学習成績の状況が4.1以上であることが求められています。
合否の評価項目には調査書も含まれているため、高校1年生の1学期から高校3年生の1学期までの評定平均をできるだけ高くすることが重要です。
日頃から授業態度や提出物に気を配り、小テストや定期テストはすべての教科で高得点を取れるよう努力しましょう。
自己推薦書を作り込む
自己推薦書は、以下の2つの内容を記載する出願書類です。
- 高校時代に力を入れた内容と挙げた成果
- 文学部を第一志望にした理由と文学部で何を学び、将来にどう活かすかという計画
それぞれA4用紙半分ほどの欄が設けられており、具体的に記載するよう指示されています。
文学部の「自主応募制による推薦入学者選考」の目的は、「慶應義塾大学文学部への志望動機が明確で意欲的なみなさんに入学への道を開く(引用元:「募集要項」p.2)」ことです。
このため、自己推薦書の内容は合否に大きく関係すると考えて間違いないでしょう。
自己推薦書を通して、「なぜ慶應義塾大学の文学部に通いたいのか」を明確に示し、強い入学の意志があることをアピールする必要があります。
文法ミスのない英作文を書けるよう練習しておく
合格を勝ち取るためには、英作文を書く練習を繰り返す事で文法ミスがない英作文を書けるようになる必要があります。
なせなら、二次選抜で実施される「総合考査I」の設問の中には、英作文の記載が求められる設問があるからです。
こちらの設問では、文法ミスは基本的にすべて減点の対象になるため、文法を何か所もミスをすると該当の設問の点数は0点になってしまいます。
そのため、本番を想定した英作文の練習をする際には、文法ミスや単語のスペルミスがないように気を配りましょう。
ただし、作成した英作文の内容の良し悪しや文法のミスの有無を自分で気づくのは簡単ではありません。
そのため、学校の英語の先生や塾の先生などに練習で作成した英作文を見てもらう事が重要になります。
小論文や記述の演習をたくさん行う
文学部の総合型選抜の合否は、以下の5つの評価によって決定します。
- 調査書
- 評価書
- 自己推薦書
- 総合考査I
- 総合考査II
そのため、評定平均を高くすることや出願書類を作り込むことはもちろん、試験対策も念入りに行わなければなりません。
各試験の内容はこのようになっています。
総合考査I |
|
---|---|
総合考査II |
|
引用元:「2024年度 慶應義塾大学 文学部 自主応募制による推薦入学者選考 募集要項」
総合考査Iは小論文、総合考査IIは記述問題です。試験時間はそれぞれ120分と60分で、小論文の方が長時間の試験となっています。
ちなみに、文学部の総合型選抜の過去問は公式サイト等で公表されていません。
そのため、高得点を狙うなら、小論文と記述問題の演習をできるだけたくさん行い、どんな問題が来ても解答できるようにしておきましょう。
法学部の選考日程と募集要項のポイント
次に、法学部で実施している「FIT入試」の概要や出願条件、対策方法などについて解説します。
法学部のFIT入試には、A方式とB方式という2種類の試験方法があります。
それぞれ出願条件や試験内容が異なるため、法学部のFIT入試を受験しようと考えている方はしっかり確認してください。
A方式の募集要項の概要と出願条件
出願期間 | 【1】オンライン申請…2023年8月1日(火)~9月5日(火) 【2】出願書類の郵送…2023年9月1日(金)~9月5日(火) ※1と2両方の手続きが必要 |
|
---|---|---|
第1次選考合格発表日 | 2023年9月19日(火) | |
2次選考日 | 2023年9月23日(土) | |
試験会場 | 三田キャンパス | |
第2次選考合格発表日 | 2023年11月1日(水) | |
出願時の主な提出書類 |
・志願確認票 ・志願者調書 ・志望理由書 ・自己推薦書(I・II) ・調査書等 |
|
試験内容 |
【1次】書類審査 【2次】模擬講義・論述試験、口頭試問 |
|
募集人数 | 法律学科・政治学科それぞれ最大80名(A方式・B方式の合計) | |
出願時必要最低評定平均 | なし | |
倍率 (2023年度) |
法律学科…5.4倍 政治学科…5.4倍 (参照元「2023年度法学部FIT入試 選考結果」) |
|
特筆すべき出願内容 (一部抜粋) |
|
参照元:「2024年度 慶應義塾大学 法学部 FIT入試(総合型選抜)募集要項」
A方式の対策のポイント
法学部のFIT入試 A方式に合格するために対策しておきたい事として以下の4点があげられます。
- 自己推薦書や志望理由書の作り込み
- 学部が求める学業・課外活動等の優れた実績を作る
- 口頭試問の準備や練習をしておく
- 過去問を研究し、二次選抜対策を万全にする
それぞれについて解説していきます。
自己推薦書や志望理由書の作り込み
法学部のFIT入試 A方式では、自分で作成するタイプの出願書類が4つあります。
- 志願者調書
- 志望理由書
- 自己推薦書I
- 自己推薦書II
それぞれに記載する内容は以下の通りです。
志願者調書 | ・氏名、住所、学歴などの情報を記載する
・中学校卒業後と現在の自分を比較し、人間的成長について述べる ・物の見方や考え方に大きな影響を及ぼした事柄(書物含む)について述べる ・現在最も関心を抱いている事柄、それに関するこれまでの取り組みと今後の取り組みについて述べる ・慶應義塾大学法学部の法律学科または政治学科に期待していることについて述べる |
---|---|
志望理由書 | 慶應義塾大学法学部を志望する理由と、入学後の学習計画、将来の夢の実現について2,000字以内で記述する(ペン書きのみ) |
自己推薦書I | ・募集要項の概要の「特筆すべき出願内容」で示した(a)〜(g)のうち、該当する出願資格を選び、理由を簡潔に記載する。
・中学校卒業以降の特筆すべき取り組みと成果を表に記載する。 |
自己推薦書II | 自己推薦書Iの内容にのっとり、自分がいかに魅力的な人物であるかをA4用紙2枚でアピールする。 |
それぞれの出願書類で記載する内容が多く、ボリュームもかなりあります。
A方式に出願する場合は、出願時期に合わせて余裕を持って書類を作成し、学校や塾の先生から添削してもらった上で提出しましょう。
A方式は、1次の書類選考で200名以上いる出願者が70名ほどに絞られます。
書類選考を通過できるかどうかが合格の鍵となるため、ここにはとことん力を入れましょう。
学部が求める学業・課外活動等の優れた実績を作る
法学部のFIT入試 A方式では、学業を含めたさまざまな活動に積極的に取り組み、優れた実績をもつ学生を求めています。
募集要項の概要の「特筆すべき出願内容」に書かれた内容を参考に、学業や課外活動の実績を作りましょう。
ここでは実績例をいくつか紹介するので、どのような実績を作ればいいか悩んでいる方は参考にしてみてください。
- 英検、仏検などの外国語検定資格を取得する
- 部活動や委員会活動、生徒会などでリーダー的役割を務める
- 興味関心のある分野のボランティア活動や地域活動に参加する
- 関心のあるテーマについて自主研究、コンテストなどへの参加を行う
また、高校時代の優れた実績について記載する自己推薦書では、A4用紙10枚以内で別途資料をつけることができます。
「アピールしたいことがたくさんありすぎて所定の用紙だけでは書ききれない!」という場合は、別途資料も活用して実績を存分にアピールしましょう。
口頭試問の準備や練習をしておく
法学部のFIT入試のA方式では、口頭試問が行われるので準備や対策は必須です。
そもそも口頭試問とは何かというと、面接官から与えられるテーマや話題に対して口頭で答える質疑応答形式の試験です。
なぜ、口頭試問の対策や準備が必要かというと、口頭試問の出来は合否に繋がる上に対策や事前準備をしたかどうかで大きな差が出るためです。
具体的に実施をしておきたい対策内容や準備としては以下の通りです。
- 2分以内で自己紹介が出来るようにしておく
- 教授からの質問に答えられるように法律や政治の知識を増やしておく
- あらかじめ本番を想定した口頭試問の練習を大人と行う
上記の3つを行った上で本番の口頭試問に臨むのと、何も準備や対策をせずに本番日を迎えるのとでは当日の出来が大きく変わります。
どんな口頭試問が行われるかは当日会場に足を運ばないと分かりません。
しかし、自己紹介をする事は求められますし、学部と関連のある法律や政治に関連した質問をされる事は容易に想像できます。そのため、知識を増やす事と練習を繰り返す事は重要です。
過去問を研究し、二次選抜対策を万全にする
法学部のFIT入試は、公式サイトにて2006年度から2023年度までの選考概要(過去問)が公開されています。
二次選抜で実施される模擬講義と論述試験、口頭試問の概要がまとまっているので、これを参考に対策しましょう。
B方式の募集要項の概要と出願条件
出願期間 | 【1】オンライン申請…2023年8月1日(火)~9月5日(火) 【2】出願書類の郵送…2023年9月1日(金)~9月5日(火) ※1と2両方の手続きが必要 |
|
---|---|---|
第1次選考合格発表日 | 2023年9月19日(火) | |
2次選考日 | 2023年9月24日(日) | |
試験会場 | 三田キャンパス | |
第2次選考合格発表日 | 2023年11月1日(水) | |
出願時の主な提出書類 |
・志願確認票 ・志願者調書 ・志望理由書 ・評価書 ・調査書 |
|
試験内容 |
【1次】書類審査 【2次】総合考査I・II、面接 |
|
募集人数 | 法律学科・政治学科それぞれ最大80名(A方式・B方式の合計) | |
出願時必要最低評定平均 | 外国語・数学・国語・地理歴史・公民および全体の学習成績の状況が4.0以上 | |
倍率 (2023年度) |
法律学科…2.3倍 政治学科…2.3倍 (参照元「2023年度法学部FIT入試 選考結果」) |
|
特筆すべき出願内容 (一部抜粋) |
|
参照元:「2024年度 慶應義塾大学 法学部 FIT入試(総合型選抜)募集要項」
B方式の対策のポイント
法学部のFIT入試 B方式の対策すべきポイントは、以下の3つです。
- 指定科目の評定と全体の評定平均をなるべく上げる
- 出願書類を作り込む
- 小論文と論述問題の対策を行う
- 面接の対策をしておく
指定科目の評定と全体の評定平均をなるべく上げる
B方式には、外国語・数学・国語・地理歴史・公民および全体の学習成績の状況が4.0以上という出願条件があります。
そのため、評定平均をなるべく高くできるように各科目の定期試験で高得点を取る事や授業を受ける姿勢に気を配る事が求められます。
また、外国語・数学・国語・地理歴史・公民という5科目それぞれの評定平均も4.0以上の必要があるため、苦手な科目がある場合は重点的に対策しなければなりません。
加えて評定平均4.0は最低ラインと考えましょう。なぜなら、4.0というラインは出願が認められるものであり、合格を目指すには心もとないためです。
そのため、評定平均はできるだけ高い数値を取れるよう努力しましょう。1つの目安としては4.5以上です。
仮にあなたの評定平均が4.5を下回る場合は、他の受験生に評定平均の面では見劣りする可能性がある事を念頭に置いておきましょう。
出願書類を作り込む
合格を勝ち取るためには、出願書類の作り込みは欠かせません。なぜなら、出願書類の出来栄えは合否判定の1つになるためです。
ちなみに、出願書類は、A方式とB方式で一部異なるため注意が必要です。
A方式 | ・志願確認票 ・志願者調書 ・志望理由書 ・自己推薦書(I・II) ・調査書等 |
---|---|
B方式 | ・志願確認票 ・志願者調書 ・志望理由書 ・評価書 ・調査書 |
B方式では、自己推薦書の代わりに評価書が出願書類となっています。評価書は高校の教員または学校長に記載してもらう書類のため、受験生が作成する必要はありません。
B方式に出願する場合は、志願者調書と志望理由書の2点を丁寧に作成しましょう。
記載する内容はA方式と同じです。
小論文と論述問題の対策を行う
FIT入試 B方式の2次試験では、総合考査I・IIと面接が実施されます。
各試験の内容は以下の通りです。
総合考査I | 与えられた資料(グラフ・表・データ・条文・判例など)から読み取れることを400字程度でまとめる。社会科学に必要な論理的な思考力、考察力を評価。 |
---|---|
総合考査II | 与えられたテーマのもと400字程度の小論文を作成する。創造力・独創性・発想力を考査。 |
面接 | 個人面接 |
参照元:「2024年度 慶應義塾大学 法学部 FIT入試(総合型選抜)募集要項」
総合考査Iは論述形式、IIは小論文の試験となっています。
過去の選考概要を確認したところ、総合考査Iでは社会問題、IIでは法律や政治に関する問題を取り上げるケースが多いようです。
対策としては、過去問を研究して類似するテーマ・問題形式を見つけ、それをたくさん演習して慣れることが効果的でしょう。
法学部のFIT入試は過去問データが多くあるため、受験予定の方はこちらを参考にしてください。
面接の対策をしておく
FIT入試 B方式を突破するためには、面接の対策をしておく事も欠かせません。
なぜなら、面接の評価は合否の判定に影響する事に加えて面接は事前に対策をするかどうかで本番の印象が大きく変わるためです。
FIT入試 B方式で実施される面接の対策のために行っておきたい事としては、以下の通りです。
- 慶應義塾大学法学部のアドミッションポリシーをあらかじめ頭に入れておく
- 入室のマナーや正しい敬語のマナーを押さえておく
- 想定される質問集を作っておき、学校の先生や塾の先生と模擬面接をしておく
- 質問に対して結論から回答をし、端的に理由を述べる答え方に慣れる
- 出願時に大学に提出した書類の内容を端的に口頭で説明できるようにしておく
- 法学部に入学した後の学習計画や入学を志望する理由を説明できるようにしておく
- 模擬面接の内容を録音し、不自然な話し方があれば修正するようにする
上記の対策を行っておけば二次選抜で行われる面接の印象や評価は全く対策をしていなかった時よりも格段に良くなるはずです。合格を勝ち取るためにもやっておきましょう。
理工学部の選考日程と募集要項のポイント
次に、理工学部で実施しているAO入試の概要や出願条件、合格するための対策ポイントなどを解説していきます。
募集要項の概要と出願条件
出願期間 | 2023年10月2日(月)~10月5日(木) |
---|---|
第1次選考合格発表日 | 2023年10月20日(金) |
2次選考日 | 2023年12月10日(日) |
試験会場 | 矢上キャンパス |
第2次選考合格発表日 | 2023年12月15日(金) |
出願時の主な提出書類 |
・志望理由書 ・入学志願者調書 ・評価書 ・調査書 ・活動実績を証明する書類または資料 |
試験内容 |
【1次】書類審査 【2次】数学・物理・化学の口頭試問および総合面接 |
募集人数 | 若干名 |
出願時必要最低評定平均 | 「全体の学習成績の状況」が4.1以上、かつ以下の科目の評定が4以上 ・数学(数学I・II・Ⅲ、数学A・Bの5科目) ・理科(物理基礎・物理・化学基礎・化学の4科目) |
倍率 (2023年度) |
4.0倍(参照元:「出願資格および提出書類、選考方法、選考結果」) |
特筆すべき出願内容 (一部抜粋) |
|
参照元:「2024年度 慶應義塾大学理工学部 AO入試 募集要項」
対策のポイント
理工学部のAO入試の対策ポイントは、以下の4点です。
- 優れた活動実績という出願条件を満たす
- できるだけ高い評定平均をとる
- 出願書類を作り込む
- 口頭試問の対策を行う
それぞれ詳しく解説します。
優れた活動実績という出願条件を満たす
理工学部のAO入試では、「勉学・課外活動などの優れた実績」を持っていることが出願条件となっています。
優れた実績例としては、国際数学・物理・化学オリンピックなどの世界規模のコンテストへの出場、スポーツにおける世界大会への出場・全国大会での入賞などが挙げられており、出願条件を満たすのはかなりハードルが高いです。
もしこうした活動実績がある場合は、積極的にAO入試に挑戦してみてください。
できるだけ高い評定平均をとる
理工学部のAO入試に出願するには、全体の学習成績の状況が4.1以上、かつ数学・理科の指定科目の評定が4以上という条件も満たさなければなりません。
高い評定平均を獲得するためにも各教科の定期試験は高得点を獲得しましょう。
また、4.1という評定平均は必達の数字です。そのため、4.1という評定平均を目指すのではなく、できるだけ高い評定平均を目指しましょう。
特に実績にあまり自信がない場合は、学業成績でカバーする事が欠かせません。
出願書類を作り込む
理工学部のAO入試に合格するためには、出願書類の作り込む事が欠かせません。
なぜなら、出願書類が一次選抜である以上、書類の内容次第では二次選抜に進めない事もあるためです。
参考までに2023年度は志願者が8名の中、一次選抜の書類選考を通過した人は3名です。つまり、半分以上が一次選抜で落ちているのです。
参照元:■AO入試(理工学部)
出願書類の作り込みが欠かせない点が良く分かると思います。
ちなみに出願書類の作り込みにおいて特に重要になるのが以下の2点の書類の質を上げる事です。
- 志望理由書
- 活動実績を証明できる資料や書類
上記の2つの書類は、あなた自身の魅力とあなたと慶應義塾大学・理工学部とのマッチ度の高さを伝える際の鍵になります。そのため、特に力を入れて準備する事をおすすめします。
口頭試問の対策を行う
二次選抜の内容は、数学・物理・化学の口頭試問と面接です。
面接の内容は公表されていませんが、理工学部で学ぶ数学・物理・化学に関する専門知識が問われると考えられます。
志望する学問分野を中心に、バランスよく各科目の知識を身につけておきましょう。
総合政策学部・環境情報学部(SFC)の選考日程と募集要項のポイント
続いて、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(通称SFC)にある総合政策学部と環境情報学部で実施しているAO入試の概要や対策方法を解説します。
募集要項の概要と出願条件
出願期間 | 【1】オンライン申請…2023年8月1日(火)~9月1日(金) 【2】出願書類の郵送…2023年9月1日(金)〜9月4日(月) ※1と2両方の手続きが必要 |
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第1次選考合格発表日 | 2023年10月12日(木) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2次選考日 | ・総合政策学部…2023年10月21日(土)または10月22日(日) ・環境情報学部…2023年10月28日(土)または10月29日(日) |
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試験会場 | 湘南藤沢キャンパス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第2次選考合格発表日 | 2023年11月1日(水) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
出願時の主な提出書類 |
・志願者評価 ・活動報告 ・志願理由・入学後の学習計画・自己アピール(2,000字以内) ・入学志願票 ・調査書等 |
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試験内容 |
【1次】書類審査 【2次】日本語または英語による面接(出願時に選択) |
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募集人数 | 総合政策学部・環境情報学部それぞれ150名(4月入学と9月入学の合計) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
出願時必要最低評定平均 | なし | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
倍率 (2023年度) |
総合政策学部…6.5倍 環境情報学部…5.0倍 参照元:「出願資格および提出書類、選考方法、選考結果」 |
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特筆すべき出願内容 (一部抜粋) |
必須ではないが、指定のコンテストで所定の成績を収め、それを証明する書類を提出できる者は1次選考免除となる。
【2023年夏秋AOの指定コンテスト(左:対象コンテスト、右:所定の成績)】
|
参照元:「慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部 アドミッション・オフィスによる自由応募入試(AO入試)2023夏秋AO 募集要項」
対策のポイント
SFCの総合政策学部・環境情報学部の対策ポイントは、この3つです。
- 英検など資格・検定試験の実績を作る
- 出願書類を作り込む
- 面接対策を万全にする
総合政策学部・環境情報学部のAO入試は、出願にほぼ条件がなく、誰でも出願できます。
ただし、その分倍率が高い点は知っておきましょう。現に2023年度入試では各学部500〜650名近くの出願者がおり、合格倍率は5〜6倍です。
そのため、AO入試でSFCに合格するには、その中から抜きん出た実績やクオリティの高い提出書類で自分をアピールする必要があります。
英検などの資格はもちろん、自分の強みや興味関心をアピールできそうな課外活動には積極的に挑戦してみましょう。
加えて評定平均が低くても出願自体は出来ますが、低い場合は低さを補えるだけの活動実績が求められます。つまり、出願時には評定平均は求められないとはいえ、高い事に越したことはない事はないのです。
SFCの各学部に合格するための対策方法は、以下のページでより詳しく解説しています。総合型選抜での受験を検討している方は一度目を通してみてください。
看護医療学部の選考日程と募集要項のポイント
最後に、看護医療学部で実施しているAO入試の概要や出願条件、合格するための対策方法について解説します。
看護医療学部には、A方式・B方式という2種類の選抜方法があります。
それぞれ出願条件が異なるため、看護医療学部のAO入試の受験を検討している方は要チェックです。
A方式の募集要項の概要と出願条件
出願期間 | 2023年9月14日(木)〜9月19日(火) |
---|---|
第1次選考合格発表日 | 2023年10月13日(金) |
2次選考日 | 2023年10月21日(土) |
第2次選考合格発表日 | 2023年11月1日(水) |
出願時の主な提出書類 |
・入学志願票(Webエントリー登録完了画面を印刷したもの) ・成績・卒業に関する証明書等 ・入学志願者調書 ・志望理由書 ・活動報告書 ・志願者評価書 ・写真票 |
試験内容 |
【1次】書類審査 【2次】オンライン面接 |
募集人数 | 若干名 |
出願時必要最低評定平均 | なし |
倍率 (2023年度) |
16.0倍(参照元:「出願資格および提出書類、選考方法、選考結果」) |
特筆すべき出願内容 (一部抜粋) |
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参照元:慶應義塾大学 看護医療学部「2024年度 アドミッションズ・オフィスによる自由応募入試(AO入試)募集要項」
A方式の対策のポイント
看護医療学部のAO入試 A方式で合格するためのポイントは、3つあります。
- 出願書類を作り込む
- アピールできる活動実績やそれに関連する実績をできるだけ多く作る
- 面接対策をする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
出願書類を作り込む
看護医療学部のAO入試 A方式は、出願条件がほぼなく、入学を志望する学生なら誰でも受験できます。
1次選考は書類選考のため、まずは出願書類をしっかり作り込みましょう。
A方式で出願時に作成しなければならない書類は、この3つです。
入学志願者調書 | ・氏名、住所、学歴・経歴などの情報 ・過去1年間に生起した社会現象のうち、特に関心を抱いたこととその理由 ・物の見方や考え方に大きな影響を及ぼした感動的な出来事や体験 ・大学卒業後の希望する進路や将来の構想 *入学志願者調書の原本はこちら |
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志望理由書 | 慶應義塾大学 看護医療学部を志望した理由と入学後の構想(800字以内・手書き) |
活動報告書 | 募集要項の概要の「特筆すべき出願内容」で記載したA〜Gのうち、自分が該当すると思うものを選び、その理由を1,200字以内で述べる *活動報告書の原本はこちら |
A方式で特徴的なのは、出願書類として調査書が必須ではないことです。
自己アピールを行う上記3つの書類と、志願者を客観的に知る立場にある2名に記載してもらう志願者評価表を主な評価対象としています。
2023年度のAO入試の結果を見る限り、1次の書類選考で3分の1程度まで受験者が絞られています。
参照元:AO入試(看護医療学部)入試結果
そのため、出願時にはそれぞれの書類を丁寧に作成し、強い入学の意志や自分の適性をアピールする事が欠かせません。
アピールできる活動実績やそれに関連する実績をできるだけ多く作る
A方式では、活動報告書による高校時代の活動実績のアピールが大きな評価ポイントです。
看護・医療・保健・福祉などに関連する活動実績があれば積極的に活用し、自分が看護医療学部に入るに値する人物であることを主張しましょう。
また、活動報告書には、主な活動実績について記載する部分のほかに、中学校卒業後の取り組みと成果を表で記載する部分があります。
ここで実績の多さもアピールできるため、部活動や委員会などのリーダー経験、地域でのボランティア活動、英検をはじめとする資格・検定試験の実績などがあれば積極的に記載しましょう。
記載する実績が少ない場合は、看護や医療に関連するボランティア・奉仕活動などに参加してみるのもおすすめです。
面接対策をする
看護医療学部のAO入試の二次選抜は、オンライン面接です。
内容は公表されていないため不明ですが、どんな質問にも答えられるように学校や塾の先生などに模擬面接をしてもらって対策しましょう。
面接の形式に慣れておくことで、当日の質問にも落ち着いて対応できるようになります。
また、出願書類で記載した志望理由や入学後の学習計画などは面接時に深掘りされることが想定されます。
そのため、提出前にコピーを残しておき、出願書類で書いた内容はきちんと頭に入れておくと共に深掘りの質問をされてもきちんと答えられるように準備しておきましょう。
B方式の募集要項の概要と出願条件
出願期間 | 2023年9月14日(木)〜9月19日(火) |
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第1次選考合格発表日 | 2023年10月13日(金) |
2次選考日 | 2023年10月21日(土) |
第2次選考合格発表日 | 2023年11月1日(水) |
出願時の主な提出書類 |
・入学志願票(Webエントリー登録完了画面を印刷したもの) ・成績・卒業に関する証明書等 ・入学志願者調書 ・志望理由書 ・学習計画書 ・志願者評価書 ・写真票 |
試験内容 |
【1次】書類審査 【2次】オンライン面接 |
募集人数 | 若干名 |
出願時必要最低評定平均 | 4.5以上 |
倍率 (2023年度) |
9.0倍(参照元:「出願資格および提出書類、選考方法、選考結果」) |
特筆すべき出願内容 (一部抜粋) |
特になし |
参照元:慶應義塾大学 看護医療学部「2024年度 アドミッションズ・オフィスによる自由応募入試(AO入試)募集要項」
B方式の対策のポイント
看護医療学部のAO入試 B方式の対策ポイントは、以下の3つです。
- できるだけ高い評定平均をとる(最低4.5)
- 出願書類を作り込む
- 面接対策を万全にする
できるだけ高い評定平均をとる(最低4.5)
看護医療学部のB方式では、「全体の学習成績の状況4.5以上(4.5を含む)」という出願条件が課されています。
まず、B方式に出願するには、評定平均4.5という高いハードルをクリアしなければなりません。
4.5という評定を獲得するためには苦手な科目であれば5段階評価で4、苦手ではない科目は全て5を狙う事が求められます。
各科目で高い評定を取るためにも、各科目の定期試験で高得点を狙う事に加えて各科目の先生から課される提出物には真面目に取り組みましょう。
それに可能であれば各科目の先生と仲良くなり、高い評定をもらいやすいような環境を作る事も欠かせません。
ちなみに評定平均は、高校3年間または高校3年生の1学期までの全成績が対象となります。
そのため、看護医療学部をAO入試 B方式で受験しようと考えているなら、高校入学時から高い成績を維持する必要があります。
出願書類を作り込む
A方式と同様、一次選抜は書類選考です。そしてB方式の書類選考では、入学志願者調書・志望理由書・学習計画書の作成が求められます。
入学志願者調書と志望理由書の内容はA方式とほぼ同じですが、学習計画書はB方式のみ作成する書類です。
学習計画書では、以下の内容を記載するよう求められています。
大学卒業後の将来構想を加えて、本学での学習計画上の目標・構想を1,200 字以内にまとめてください。日本語を使用し、本人の自筆、横書きで作成してください。
参照元:「⑤−1 学習計画書(B方式)」
看護医療学部のAO入試は、学部への入学を強く希望する学生を選抜する選考方法です。
そのため、学習計画書は入学後の学習計画や卒業時のビジョン、卒業後の将来構想をしっかり描いていることが伝わるように丁寧に作成しましょう。
面接対策を万全にする
二次選抜はA方式と同じオンライン面接です。
二次選抜の面接では、書類選考だけでは判断できなかった学部への適性や志望理由、志望度合いなどを直接確認して本格的に選抜しています。
そのため、書類選考を通った後は二次選抜の面接の場での志望度の高さや面接官に与えた印象が合否を決めている可能性が高いです。
B方式で合格を目指すのでしたら書類審査に合格した後には何度も面接の対策をしましょう。
慶應義塾大学の総合型選抜(旧AO入試)で求められる事は?
ここからは、慶應義塾大学の総合型選抜・推薦入試で何が求められるのか、どのような人が合格しやすいのか、について解説していきます。
なお、SFCの総合政策学部と環境情報学部で求められることについては、こちらの記事で紹介しています。
SFCの2学部を受験しようと考えている方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
何が求められるのか?
慶應義塾大学の総合型選抜・推薦入試では、以下の5つのポイントが特に求められます。
慶應大学の総合型選抜・推薦入試で主に求められる5つのポイント
- テンプレートではなく、自分の言葉で説得力のある論述ができていること
- すべての書類を通して、入学後に学びたいことに一貫性があること
- 学部・学科が求める学生像に合致しており、教授が「教えたい」と思う学生であること
- 大学で学びたいことを学ぶ準備を既に始めていることを証明できる活動実績や探究活動
- 大学で学びたいことを学ぶにあたって必要な主体性・協働性を磨いてきたことを証明できる実績
入学後の学習計画と現時点の実績の両方が重要
総合型選抜は、一般選抜では測れない学業成績や課外活動の実績を総合的に評価して、学部と受験生のマッチングを行う選抜方法です。
慶應義塾大学の総合型選抜は特に「学部と受験生のマッチング」という点を重視した選抜方法が多く、学部への適性をさまざまな観点で評価しています。
こうした選抜方法で合格を勝ち取るには、学部学科の志望理由や入学後の学習計画、卒業後の将来ビジョンなどを明確に持ち、それを自分の言葉で、説得力ある形で試験官に伝えるスキルが必要不可欠です。
さらに言えば、大学入学後のプランに本気度を伝えるためにも既に志望学部に入学した後に取り組む事と関連をした活動をしていることが望ましいです。
特に一部の学部では活動実績を証明できる書類の提出を求める試験を実施している以上、合格を勝ち取る際の鍵になる、と考えましょう。
熱い想いと活動実績を正確に伝える能力も大切
慶應義塾大学の各学部が実施している総合型選抜は、どの方式でも作成すべき出願書類のボリュームが多く、自由記述も多く設定されています。
そのため、明確な志望理由や大学でのビジョンを持ち、それを論理的にわかりやすく表現するスキルがあるかどうかが問われていると言えるでしょう。
ここまでの内容とまとめると、冒頭でご紹介しましたように以下の5点が重要になる、という結論になります。該当する項目が多ければ合格に近づきますので、いくつ該当するかご確認下さい。
慶應大学の総合型選抜・推薦入試で主に求められる5つのポイント
- テンプレートではなく、自分の言葉で説得力のある論述ができていること
- すべての書類を通して、入学後に学びたいことに一貫性があること
- 学部・学科が求める学生像に合致しており、教授が「教えたい」と思う学生であること
- 大学で学びたいことを学ぶ準備を既に始めていることを証明できる活動実績や探究活動
- 大学で学びたいことを学ぶにあたって必要な主体性・協働性を磨いてきたことを証明できる実績
合格しやすい人の特徴
慶應義塾大学の総合型選抜に合格しやすい人の特徴を簡単にまとめました。
- 学部が定めるアドミッション・ポリシーに合致している人
- 自分が将来やりたいことを、自分の言葉で具体的に語れる人
- 志望学部に関連した活動実績があること
- 評定平均が5に近い人
それぞれについて簡単に補足します。
学部が定めるアドミッション・ポリシーに合致している人
まず第一に、それぞれの学部学科が定めるアドミッション・ポリシーに合致している学生であることが重要です。
総合型選抜は「アドミッション・ポリシーに合致する学生を選抜するための入試制度」であるので、アドミッション・ポリシーの深い理解と分析は欠かせません。
出願書類や面接の場では志望学部のアドミッション・ポリシーとの親和性が高い事が伝わるように心がければ自ずと高評価が期待できます。
自分が将来やりたいことを、自分の言葉で具体的に語れる人
また、慶應義塾大学の総合型選抜は、出願書類で入学後の学習計画だけでなく、大学卒業後の将来構想まで記載する事が求められる傾向があります。
そのため、「自分の将来のビジョンを実現するために慶應義塾大学のこの学部に入学する必要がある」ということを明確に示せると、高い評価が得られるでしょう。
そこで、どういった理由で何をしたいのか、他の大学ではなく慶應義塾大学の志望学部への入学を希望する理由、入学後の学習計画、という3点を説明できるようになりましょう。
志望学部に関連した活動実績があること
志望学部に関連した活動実績がある学生も合格しやすいです。
なぜなら、大学入学後の学習計画がある人と既に志望学部と関連のある活動実績を持った上で入学後の学習計画がある人とでは後者の方が志望度の高さが伝わるためです。
加えて、志望学部に関連した活動実績があれば、出願書類で書く事も面接の場で教授にアピールする事も出来ます。つまり、現時点で活動実績がない人と比べると明らかに合格を勝ち取りやすくなるのです。
そのため、現時点で志望学部が求める活動実績を持たないようでしたら今からでも実績を積み重ねる事をおすすめします。
評定平均が5に近い人
評定平均が5に近い人は、他の出願者と比べると合格を勝ち取りやすいです。
なぜなら、評定平均が出願条件になっている学部でもそうでない学部でも、調査書の提出が求められる以上、評定平均は大学側のチェック項目の1つだからです。
加えて評定平均は高校の授業をどれだけ真面目に受けていたか、どれだけしっかり授業の内容を吸収していたかを表します。これは、大学に入学してからの学ぶ姿勢を判断する重要な材料となっています。
つまり、評定平均は志望学部が出願条件に定める最低ラインを超えれば良いのではなく、上限値である5に近い方が望ましいのです。
まとめると、評定平均が5に近ければ、合否判定に有利です。逆に志望学部が定める最低ラインの評定平均しかない場合、評定面のマイナスを補えるだけの活動実績を積む事や面接でよい印象を与える必要があるので合格の難易度が上がります。
おすすめの併願受験先はどこ?
次に慶應大学の総合型選抜や推薦入試と共に出願を考えておきたい併願受験先を紹介します。当スクールの講師がおすすめしている併願受験先は以下の3つになります。
おすすめの併願先の一例
- 上智大学の公募推薦
- 中央大学の総合型選抜
- 立教大学の総合型選抜(自由選抜入試)
それぞれをおすすめする理由については1つずつ解説します。
上智大学の公募推薦
総合型選抜や推薦入試で慶應大学の合格を目指している人と上智大学の公募推薦は相性が抜群です。理由は以下の通りです。
- 早慶上の1つなのでほぼ同ランクの大学である事
- 大半の学部の合否発表後に試験が行われる事
- 2倍以下の倍率の学部・学科も複数あるため
特に注目に値するのが2の「大半の学部の合否発表後に試験が行われる事」です。
2024年度の上智大学の公募推薦の受験スケジュールは次の通りです。
出願期間 | 2023年11月1日(水)~11月7日(火) |
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試験日 (二次選抜) |
2023年11月25日(土) |
合格発表日 | 2023年12月7日(木) |
参照元:上智大学「推薦入学試験(公募制)」
つまり、11月25日の試験開始時間までに結果が出る慶應大学の総合型選抜や推薦入試を受ける場合は、合格すれば二次選抜を辞退すればよいので併願できます。
参考までに11月25日までに結果が出ない慶應大学の総合型選抜は文学部(11月29日)と理工学部(12月15日)だけです。そのため、これら以外の学部を受けるのでしたら是非とも併願をする価値があります。
上智大学の公募推薦は以下のページでまとめていますのでご興味があればぜひご覧ください。
中央大学の総合型選抜
中央大学の総合型選抜も総合型選抜や推薦入試で慶應大学の受験を考えている人におすすめの併願先です。理由は以下の通りです。
- 中央大学の総合型選抜は併願が認められている
- 早慶の1つ下のMARCHの1つなので滑り止めに最適
特に併願が認められている点は注目に値します。中央大学の総合型選抜の詳細が気になりましたら以下の特集ページをどうぞ。
立教大学の総合型選抜(自由選抜入試)
総合型選抜や推薦入試を利用して慶應大学を目指す人にとって立教大学の自由選抜入試もおすすめです。おすすめの理由としては以下があります。
- 併願受験が禁止されていない
- 慶應大学と同様に六大学の1つである
- 総合型選抜を実施している学部が多い
幅広い学部で総合型選抜を実施しており、合格後の辞退が認められるのは併願先の条件としては都合が良いです。
そのため、慶應大学の総合型選抜や推薦入試と共に大学入学後に学びたい学問を学べる立教大学の学部・学科の自由選抜入試については出願する価値があります。立教大学の自由選抜入試については以下のページでまとめております。
慶應義塾大学の総合型選抜・推薦入試の希望者がよく抱く疑問
最後に、慶應義塾大学の総合型選抜・推薦入試についてよく挙げられる疑問についてまとめて解説します。
他学部や他大学と併願できるの?
慶應義塾大学の総合型選抜は、他大学との併願を禁止してはいません。
しかし、全学部で「志望学部を第一志望とし、合格した場合に入学を確約できること」が出願条件となっているため、併願する場合は十分考慮しましょう。
慶應義塾大学の他学部の併願については、一部不可となっている学部もあります。
以下に各学部の併願に関する情報をまとめましたので、学内で併願を検討している方は確認してください。
学部 | 併願に関する記述 |
---|---|
文学部 | 特になし |
法学部 | 法律学科と政治学科の併願不可。各学科でA方式とB方式の併願は可能。 |
理工学部 | 特になし |
総合政策学部・環境情報学部 | 総合政策学部と環境情報学部の併願不可 |
看護医療学部 | A方式とB方式の併願不可 |
慶應義塾大学に学校推薦型選抜(指定校推薦)はあるの?
慶應義塾大学では、以下の学部・学科で学校推薦型選抜(指定校推薦)を実施しています。
- 法学部(法律学科、政治学科)
- 商学部
- 理工学部
- 薬学部(薬学科)
だいたい6月ごろに各高校へ詳細が送られ、出願が開始するのは11月ごろです。
2023年度の各学部学科の募集人数はこのようになっています。
学部学科 | 募集人数 |
---|---|
法学部法律学科 | 80 |
法学部政治学科 | 80 |
商学部 | 200 |
理工学部 | 195 |
薬学部薬学科 | 30 |
参照元:推薦入試(指定校)選考結果
商学部や理工学部の募集人数は約200人とかなり多いのが注目に値します。
指定校推薦は校内選考を突破すればほぼ必ず合格が決まります。
そのため、通っている高校に志望する学部・学科の指定校推薦枠があり、校内選考に勝てるだけの評定平均や実績があればぜひ応募してみましょう。
どんな活動実績があると良いの?
具体的には、以下のような活動実績があると有利です。
- ボランティア活動
- コンテストやコンクールへの参加
- 創作や研究結果の発表
理工学部や総合政策学部・環境情報学部ではある程度決まった活動実績が必要ですが、そのほかの学部ではさまざまな種類の活動実績で出願できます。
学業に力を入れていることをアピールしたい場合は、難易度の高い資格や検定試験の合格実績を用いるのもいいでしょう。
これから実績を作ろうと考えている場合は、自己アピールのしやすさも考慮して、学部や学科、自分の将来の夢に関わりがある活動に取り組んでみるのがおすすめです。
また同時に、慶應義塾大学の総合型選抜では「実績の多さ・すごさがすべてではない」という点もおさえておく必要があります。
実績があるに越したことはありませんが、学業に真剣に取り組んだ経験もたしかな実績です。
学業優秀で、学部で学びたいことを明確に示すことができれば、総合型選抜の合格率はアップするでしょう。
過去問はどうやって入手できるの?
慶應義塾大学の総合型選抜の過去問は、法学部で実施しているFIT入試のみ公開しています。
FIT入試の過去問では、模擬講義・論述試験・口頭試問のそれぞれの試験概要がまとめられています。
2006年度から2023年度まで公開されているので、FIT入試を受験する方はこちらを参考に2次選考の対策を行いましょう。
その他の学部の過去問は公式サイトで公開されていません。
過去問を入手したい場合は、総合型選抜対策を行っている塾で情報を集めるか、過去に受験した先輩に話を聞くなどする必要があります。
浪人生や社会人も受験できるの?
慶應義塾大学の総合型選抜の中には、浪人生や社会人でも出願できる学部があります。
各学部の出願条件をまとめましたので、現役生以外の方はこちらをチェックしてください。
学部 | 出願条件(一部抜粋) | 現役生以外の出願 |
---|---|---|
文学部 |
|
× |
法学部 |
|
◯ |
理工学部 |
|
× |
総合政策学部・環境情報学部 |
|
◯ |
看護医療学部 |
|
◯ |
引用元:2024年度 慶應義塾大学 文学部 自主応募制による推薦入学者選考 募集要項
引用元:2024年度 慶應義塾大学 法学部 FIT入試(総合型選抜)募集要項
引用元:2024年度 慶應義塾大学理工学部 AO入試 募集要項
引用元:慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部 アドミッション・オフィスによる自由応募入試(AO入試)2023夏秋AO 募集要項
引用元:2024年度 アドミッションズ・オフィスによる自由応募入試(AO入試)募集要項
法学部、総合政策学部・環境情報学部、看護医療学部は、浪人生であっても出願条件を満たせば出願できます。
ズバリ、受かりやすい狙い目の学部はどれ?
慶應義塾大学の総合型選抜で狙い目の学部は、以下の2つです。
- 文学部
- 法学部(B方式)
この2学部は、総合型選抜の中でも比較的倍率が低く、出願条件である評定平均を満たせれば基本誰でも出願できます。
文学部で必要な評定平均は4.1以上、法学部(B方式)は4.0以上です。
募集人数も、文学部は120名、法学部は各学科80名と比較的多く、合格できる可能性は決して低くありません。
また、法学部の2023年度選考結果を見ると、B方式はA方式より出願者数が少ないにもかかわらず、A方式より多くの合格者が出ています。
したがって、法学部の総合型選抜を受験するなら、B方式で出願するのが狙い目です。
慶應義塾大学の総合型選抜(旧AO入試)・推薦入試に関する総括
最後に、今回紹介した慶應義塾大学の総合型選抜・推薦入試について特におさえてほしいポイントをまとめました。
特におさえるべきポイント
- 実施学部は、文・法・理工・総合政策・環境情報・看護医療の6学部
- 試験内容や実施日は共通ではなく、学部ごとに独自の選抜方法を実施している
- 各学部の合格倍率は3〜5倍なので、難易度が高いと言える
- SFCと法・看護医療のA方式を除き、出願に評定平均の条件がある
- 学部によっては浪人生や社会人も出願できる
- 出願書類のボリュームが大きいため、丁寧に時間をかけて対策すべき
- 学力試験はないが、小論文・論述形式の試験がある場合も
「早慶上理」として私学トップクラスと謳われる慶應義塾大学は、受験生の誰もが一度は憧れる大学ではないでしょうか。
偏差値・入試倍率・合格難易度のすべてが高い最難関大学ですが、総合型選抜では一般選抜よりも合格できる可能性が高い学部もいくつかあります。
「何としても慶應義塾大学に入学したい!」という方は、ぜひこの記事の内容を参考に、総合型選抜の受験も検討してみてください。
最後になりますが、当スクールホワイトアカデミー高等部では慶應義塾大学の総合型選抜並びに推薦入試の対策授業を提供しています。塾を使ってでも合格を勝ち取りたいという方は無料体験授業も受けられますのでまずは一度無料相談をご利用下さい。
【本記事の参考ページ一覧】
・慶應義塾大学 公式サイト
・慶應義塾大学 入試制度
・慶應義塾大学【文学部、法学部、理工学部、総合政策学部・環境情報学部、看護医療学部】