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- 「美大の『総合型選抜』って、具体的にはどんな入試?」
- 「公募推薦とどっちがいいの?」
美大の総合型選抜について、このような疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、美大の総合型選抜について解説しています。
公募推薦との違いや対策方法も説明しているため、総合型選抜の利用を検討している人はぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人:竹内健登(たけうち・けんと)
東京大学工学部卒業。内定率100%の就活塾ホワイトアカデミーの創立者であり、ホワイトアカデミー高等部の校長。
自身の大学受験は東京大学に加えて倍率35倍の特別選抜入試を使って東京工業大学にも合格し、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。
高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると丸7年。現在は大学生の就活支援を通して培った書類添削スキルと面接指導力を武器に総合型選抜並びに公募推薦の指導を担当中。
倍率300倍を超える就活で確かな結果を出してきたメソッドを利用し、過去担当した高校生は全て志望校に合格させている。
目次
美大の「総合型選抜」とは?
まずは美大の総合型選抜の仕組みについて解説します。
美大入試の「総合型選抜」とは
美大入試の「総合型選抜」とは、美術大学が実施する入試形式の一つです。
従来の筆記試験や共通テスト(旧センター試験)の成績だけではなく、自己推薦書・面接などを総合的に評価します。
総合型選抜は受験生を多面的に評価することで、よりその大学での学びに適した学生を選抜することが目的とされています。
美大の総合型選抜で重要視されるポイント
美大の総合型選抜では、主に以下のような点を重要視される傾向があります。
ポートフォリオの内容と質
美大の総合型選抜では受験生の創作能力や姿勢を評価します。
ポートフォリオは、学力だけでは測ることのできない部分を評価するために、選考材料として重要視されます。
面接での受け答え
多くの美大では、二次試験時に面接を実施します。
面接と作品の審査を兼ねているケースもあり、応募者の作品に対する意図や理解、説明力、将来の目標などが評価されます。
志望動機や学習意欲だけではなく、作品に対する姿勢や作品のコンセプト等を人に伝える能力を評価される点は、一般的な総合型選抜と大きく異なります。
小論文の内容
面接に加えて小論文を課す美大もあります。一般的な大学とは異なり、美術・芸術に関するテーマを課される傾向があります。
小論文も面接と同様に、美術・芸術に対する姿勢や考え方を読み取り評価します。
学業成績
一部の美大の総合型選抜では、学業成績も重要視されます。主に調査書に記載される評定平均を評価し、選考材料としています。
武蔵野美術大学のようにアドミッションポリシーに「基礎的な学力を身に着けていること」といった事を記載している大学もあるため、創作活動だけではなく、学業に真摯に取り組む必要があります。
参照:「武蔵野美術大学 2025年度 学生募集要項 総合型選抜(前期)」
美大の総合型選抜と公募推薦の違い
総合型選抜と公募推薦は、美術大学の入試形態として多くの受験生に利用されていますが、それぞれに特徴と違いがあります。
公募推薦の特徴
公募推薦は、総合型選抜と比較して、学力試験の成績や学校での成績、推薦状の内容を評価される傾向があります。
また、総合型選抜は受験資格を満たす場合、推薦者の推薦が必要ありませんが、公募型選抜の場合は学校長の推薦が必要です。(一部例外あり)
総合型選抜と同様に面接や実技試験も課されますが、学力も重要になります。
総合型選抜との比較
美大の総合型選抜と公募型推薦では、受験に向けた準備と合格率に違いがあります。
受験に向けた準備
美大の総合型選抜と公募推薦では、受験の準備と、準備の開始時期に違いがあります。
総合型選抜では、面接や小論文、課題制作などの複数の評価基準を用いて総合的に評価されるため、幅広い対策が必要になります。
一般的には高校2年生から準備を始めます。
対して公募型推薦では、高校1年生から学校の成績を意識する必要があります。
前述の通り、総合型選抜と比較して学力の評価が高いことも一つの理由ですが、前提として学校での成績が振るわない場合、学校長の推薦をもらうことが出来ない可能性があるからです。
このように総合型選抜では高校2年生から幅広い対策をする必要があり、公募型推薦では高校1年生から学校での成績を意識する必要があります。
もちろん、総合型選抜の準備も早期に開始するに越したことはありません。可能な限り早く準備に取り掛かりましょう
合格率の違い
美大の総合型選抜と公募型推薦では、合格率にも違いがあります。
総合型選抜の方が、公募型推薦よりも合格率が高い傾向にあるのです。
2024年度の多摩美術大学の美術学部の入試結果を参照してみます。
総合型選抜の受験者が248人のうち、合格者は132人と約50%の人が合格しています。
対して公募型推薦では受験者が437人のうち、合格者は111人と約25%に低下しています。
2023年度の入試でも、同様の傾向が見られました。
参照:「多摩美術大学 入試データ結果資料(2024年度 美術学部総合型選抜・学校推薦型選抜結果資料)」
このように、総合型選抜と公募型推薦では、受験に向けた準備や入試結果で大きな違いがあるのです。
美大の総合型選抜のメリットとデメリット
美大の総合型選抜のメリットとデメリットを解説します。
メリット・デメリットを理解した上で、自分に適した入試方法を選択しましょう。
メリット
美大の総合型選抜において、まずメリットとして挙げられることは、自分の個性や才能を存分にアピールできる点です。
試験の形式に美大ならではの柔軟さがあり、学科試験だけでなく、面接やプレゼンテーション、ポートフォリオなど多岐にわたる評価方法が採用されます。
こうした入試方法では、自分の強みを最大限に活かすことができます。
また、早い段階で進路を決定できるため、合格後から入学までの時間を創作活動に充てることもできます。
デメリット
一方で、デメリットも存在します。
前述の通り、多岐にわたる評価方法が採用されているため、対策に時間と労力がかかります。
また、評価基準が明確でない場合もあり、具体的な対策方法が分かりにくいこともあります。
さらに、面接やプレゼンテーションなどの対人スキルが求められるため、対人コミュニケーションが苦手な人は不利になることがあります。
美大の総合型選抜を受ける際には、上記のようなメリットとデメリットを十分に理解し、自分に合った選抜方法を選ぶ必要があります。
出願時に必要な準備
美大の総合型選抜に必要な準備について解説します。
出願書類の準備
まずは出願書類を用意する必要があります。
大学のホームページから募集要項を確認し、学校の先生にも相談しておきましょう。
学科によっては自己推薦書や論文、学習計画書などの書類を制作する必要もあります。
参照:「武蔵野美術大学 2025年度 学生募集要項 総合型選抜(前期)」
ポートフォリオの作成
美大の総合型選抜では、ほとんどの大学でポートフォリオの提出が義務付けられています。
こうしたポートフォリオには、作品の概要などの詳細な情報を記載する必要もあるため、早い段階から取り組む必要があります。
面接・小論文・プレゼンテーションの対策
ポートフォリオの制作だけではなく、面接や小論文、プレゼンテーションの対策も行いましょう。
こうした対策は、一人で行うことが難しいため、学校の先生や塾などの外部の機関を利用して、指導や添削などを受けてスキルアップを図りましょう。
具体的な対策方法については、次項で解説します。
合格するために行いたい具体的な対策
美大の総合型選抜に向けた具体的な対策について解説します。
多岐にわたる対策が必要なため、早い段階で対策を始めましょう。
自己分析と志望校の決定
まずは自己分析をする必要があります。
自己分析を行うことで、自分の強みや弱み、興味関心を明確にしましょう。その上で、大学に入学した後に極めたい美術分野を明確にし、興味・関心を満たせる進学先を探しましょう。
無事に理想的な進学先が見つかれば、志望校が決まった事になります。
その際、どのゼミに所属してどのような創作活動に打ち込みたいのかをできるだけ具体的・論理的に言語化しておくと質の高い志望理由書を書くための準備ができます。
計画を立てて時間を管理
志望校について調べ終わった後は、入試までの計画を立てましょう。
前述の通り、美大の総合型選抜では多岐にわたる対策が必要なため、並行していくつもの作業を行う必要があります。
入試直前に焦らないためにも、計画を立てて時間を管理しましょう。
ポートフォリオの作成
ポートフォリオの作成には、早めに取り掛かりましょう。
前述の通り、美大の総合型選抜では、ポートフォリオの作成だけではなく面接や小論文の対策も並行して行う必要があり、受験直前は慌ただしくなります。
満足のできるポートフォリオを作成するためにも、早めに取り掛かりましょう。
十分な時間をかけて自分の作品を整理し、一貫性を持たせることで、審査員に自分の能力をしっかりと示すことができます。
面接・小論文対策
面接や小論文の対策では、過去の質問内容や出題テーマを踏まえた対策を行いましょう。
美大の総合型選抜では、面接の質問や小論文のテーマに、その大学の特徴が濃く反映されている傾向があります。
大学がホームページで公開している過去問は必ず見ておきましょう。
また、面接の内容は進学している高校が過去の先輩の事例から記録している可能性もあるため、先生に相談してみる価値があります。
専門講座や予備校の活用
美大の総合型選抜の対策には、専門講座や予備校を活用すると効率よく対策ができるでしょう。
前述の通り、美大の総合型選抜は美大ならではの特徴や傾向があり、対策も多岐にわたります。
このような場合は、美大の受験に特化した専門講座や、総合型選抜・推薦入試の対策に力を入れている予備校や塾を利用することで、効率よく対策を行うことができます。
参考までに当スクールホワイトアカデミー高等部では、美大の総合型選抜特有のポートフォリオの添削も可能です。無料の受験相談も実施していますので、ご興味があればぜひ一度ご利用下さい。
よくある質問とその回答
最後に、美大の総合型選抜に関連する質問と回答をまとめています。
前述していない内容も含んでいるため、ぜひご覧ください。
美大の総合型選抜の面接では何を聞かれる?
美大の総合型選抜の面接では、主に以下のような質問が想定されます。
- 志望動機
- 将来の展望
- 影響を受けた作家や作品
- 個人的な価値観や思考
- これまでの創作活動や成績
- 実技試験の作品やポートフォリオの作成意図や背景
聞かれる質問は当日の面接官次第なところもありますが、今取り上げた質問は品質の質問になりますので、答えられるようにしておきましょう。
また、志望校でどんな質問がされるか気になりましたらオープンキャンパスに参加をし、オープンキャンパスのスタッフをしている在校生に聞いてみるのも手です。
美大の総合型選抜は学校外の活動が評価される?
美大の総合型選抜では、美術・芸術と関連した課外活動があれば評価される可能性が高いです。
大学のアドミッションポリシーや入試コンセプトでは、「美術・芸術を通して様々な分野で活躍できる人」を求める傾向があります。学校外の活動も評価のポイントになるでしょう。
また、学校外での創作活動は創作に対する真摯な姿勢をアピールできます。
参照:「2025年度 多摩美術大学 美術学部 学生募集要項 総合型選抜」 「武蔵野美術大学 2025年度 学生募集要項 総合型選抜(前期)」
総合型選抜の倍率はどのくらい?
美大の総合型選抜の倍率は学部・によって違いがありますが、約2倍~3倍です。
しかし、志望する大学・学部・学科によっては5倍を超えることもあります。そのため、2倍~3倍を目安にしつつも、具体的な倍率は志望校次第と考えて、志望校の過去の倍率をチェックしましょう。
また、志望校の倍率を確認するときには、学部全体の倍率ではなく、学科ごとの倍率を見ることをおすすめします。
また、前期と後期では後期の方が倍率が高くなる傾向があります。
参照:「武蔵野美術大学 2024年度 入試データ(総合型選抜 前期結果)」
総合型選抜と評定平均は関係ある?
美大の総合型選抜の合否には、少なからず評定平均が関係します。
ほとんどの美大では、出願書類として調査書の提出を義務付けています。
調査書には高校3年間の成績として評定平均が記載されるため、選考にも影響するでしょう。
前述の通り、基礎的な学力が身についていることをアドミッションポリシーに定めている大学もあるため、そのような大学では評定平均も含めて審査される可能性が高いです。
美大の総合型選抜は併願できる?
美大の総合型選抜では、併願を禁止していない大学は少なくありません。そのため、美大の総合型選抜で複数の大学に出願をする事は不可能ではありません。
しかし、他の大学との併願を禁止している大学・学部・学科も0ではないはずですので、志望する大学・学部・学科の募集要項で併願が認められるかどうかをチェックしましょう。
併願が認められるかどうかの確認方法については以下のページの内容が参考になりますので、是非ご確認ください。
美大の公募推薦で落ちる可能性は?
美大の公募推薦で不合格になる可能性はあります。
推薦型入試でも大学の合格基準を満たさなければ、当然不合格になってしまいます。
また、前述の通り、美大の総合型選抜と公募型推薦では、総合型選抜の方が合格率が高い傾向があります。そのため、志望校の公募推薦を受けながらも合格後の辞退が可能な美大の総合型選抜を併願受験する事も検討しておきましょう。
公募推薦は評定平均が低くても出願できる?
評定平均が低い場合は、美大の公募推薦に出願できる可能性が低くなります。
なぜなら、大学によっては出願条件として具体的な評定平均値を定めている場合があるため、その値に達していない場合は公募型推薦での出願はできないからです。
一方で、出願時の条件に評定平均の下限値が定められていないケースやあなたの評定が低くとも出願時に求められる評定平均の下限値を超えていれば出願自体は可能です。
ただし、出願ができても評定平均が低い場合はポートフォリオをはじめとした他の出願書類が際立たないと書類審査で落とされる可能性はあります。
まとめ
今回は美大の総合型選抜について解説しました。以下にポイントをまとめています。
美大の総合型選抜のポイント一覧
- 美大の総合型選抜は学力だけではなく、自己推薦書・ポートフォリオ・面接・実技試験等が総合的に評価されて合否が決まる
- 出願には学校の推薦は必要がなく、公募推薦よりも合格率が高い傾向がある
- 美大の総合型選抜で合格するためには、ポートフォリオの作成や面接・小論文対策など、多岐にわたる対策が必要
- 自力での準備に自信がない場合は専門の塾や予備校を利用する事を検討したい
ぜひ今回の内容を参考に志望する美大の総合型選抜を突破してみてください。
最後になりますが、ホワイトアカデミー高等部では美大の総合型選抜を突破するコツについて解説する無料の受験相談会を実施しています。以下からご予約をお取りできますので、是非ご利用下さい。
この記事の監修者:諏訪孝明
東京大学経済学部卒。学生時代・社会人時代と合わせると受験指導歴は約15年のベテラン講師。
過去受験指導をした生徒数は400人を超えており、東大・早慶・MARCHの合格者も多数。一般選抜だけではなく、総合型選抜・公募推薦の指導歴も豊富であり、旧AO入試時代と合わせると30名以上を担当。
2020年度に関しても公募推薦で上智大学に合格をした生徒の主担任を務め、奇跡の合格獲得を実現。当スクールの高大接続のビジョンに共感し、主任講師という形で当スクールの設立時より参画。
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