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この記事では、大学入試で実施されるグループディスカッションとはどのようなものなのか、について詳しく解説しています。
- 総合型選抜や推薦入試でグループディスカッションがあるけど対策方法がわからない
- そもそも何をする試験なのかすら知らない
- グループディスカッションが難しそうなので、志望大学を受験するかどうか悩んでいる
- 大学入試で求められるグループディスカッションのポイントを知りたい
このようなお悩みをお持ちの方にぴったりの内容となっているので、どれか一つでも当てはまる項目があった方はぜひご一読ください。
なお、大学入試でよく出題されるテーマ例もご紹介しているので、対策方法について知りたい方にもおすすめです。
この記事を書いた人:竹内健登(たけうち・けんと)
東京大学工学部卒業。内定率100%の就活塾ホワイトアカデミーの創立者であり、ホワイトアカデミー高等部の校長。
自身の大学受験は東京大学に加えて倍率35倍の特別選抜入試を使って東京工業大学にも合格し、毎年数人しか出ないトップ国立大学のダブル合格を実現。
高校生の受験指導については東京大学在学時の家庭教師から数えると丸7年。現在は大学生の就活支援を通して培った書類添削スキルと面接指導力を武器に総合型選抜並びに公募推薦の指導を担当中。
倍率300倍を超える就活で確かな結果を出してきたメソッドを利用し、過去担当した高校生は全て志望校に合格させている。
目次
大学入試のグループディスカッションとは
まずは、大学入試で実施されるグループディスカッションのポイントを解説していきます。
そもそもグループディスカッションって何?
グループディスカッションは、4〜5名の受験生で提示されたテーマについて議論を行う試験形式です。
話し合いの過程を面接官が審査し、受験生の以下のような能力をチェックします。
- コミュニケーション能力
- 協調性
- 自分の意見をわかりやすく伝える能力
- さまざまな意見をまとめて議論を進める力
グループディスカッションでは、話すのが上手い人だけが評価されるわけではありません。
それぞれの意見を集約し、より良い結論に導き出すことが目的のため、さまざまな形で自分の強みを発揮することが高評価に繋がります。
大学入試のグループディスカッションの基本形式について
グループディスカッションは、1グループだいたい4〜5名で行い、1〜2名の面接官が各受験生の発言や話し合いの姿勢を評価する形式が一般的です。
テーマは、大きく2つに分けられます。
- 賛成・反対などの選択肢に分かれる「ディベート型」
- 決まった答えのない「討論型」
ディベート型の場合、「賛成多数のテーマで反対の意見を出したら不合格になってしまうのでは?」と考えがちですが、そんなことはありません。
グループディスカッションではグループで結論を導き出すまでのプロセスが必ずチェックされます。
そのため、少数派でも論理的で的を得ている意見を出す事は高評価に繋がります。
また、グループディスカッションの制限時間は、大学ごとに大きく異なります。
たとえば、九州共立大学の総合型選抜では30分ですが、東京都市大学のセンター利用入試では60分、東京大学の学校推薦型選抜では85分です。
大学側がグループディスカッションを行う理由
大学は、グループディスカッションを通して、受験生の以下のようなスキルをチェックしています。
- コミュニケーション能力
- リーダーシップ
- チームワークや協調性
- 論理的思考力
- 問題解決能力
- 自分の意見を的確に伝える力
これらのスキルは、学業成績からは見えづらいものですが、どれも大学で学ぶ上で必要なスキルです。
大学側は、特に総合型選抜や学校推薦型選抜からの入学者には、学部・学科の学びやゼミ活動を活発にしてくれる人材を選びたいと考えています。
そのため、グループディスカッションは、入学後に他の学生と建設的な議論を行えるか、他の学生をリードまたはフォローできるか、といった点を評価するために実施していると言えるでしょう。
基本的なグループディスカッションの流れ
グループディスカッションの流れは、基本的にこのようになっています。
挨拶・グループ分け | 会場に入り、決められた座席に座る。円卓に座る場合が多いが、面接官と対面する形で座るパターンもある。 |
---|---|
テーマの提示 | 面接官からディスカッションテーマ、制限時間、ディスカッションの進め方について説明される。議長(司会役)を決める事を求められることもある。 |
議論を行う | 4〜5名のグループで議論・討論する。役割に沿った発言や振る舞い、テーマに合った意見を出すことが求められる。 |
結論を出す | 時間内に収まるようにグループの結論を出す。どっちつかずの結論や論点がまとまっていない結論にならないよう注意。 |
終了後に個人面接を行う大学・学部もありますが、そうでない場合は簡単な説明を受けて解散となります。
代表的なグループディスカッションの種類
グループディスカッションは、主に以下の5種類に分けられます。
5種類の内訳 | 特徴 | 評価のポイント |
---|---|---|
資料読解型 | 与えられた資料を読み、自分の意見をまとめた上でグループでの議論を行う。 |
|
課題解決型 | テーマとなる課題に対して、グループで解決策を議論する。 そして、最終的に導き出された解決策を提示する。 |
|
ディベート型 | 賛成か反対か、AかBか、といった形でどちらかの立場に分かれ、討論する。 |
|
選択型 | 提示された複数の選択肢から、自分の意見に合うものを一つずつ選ぶ。 ディベート型との違いは、選択肢が2つ以上あること。 |
|
自由討論型 | 与えられたテーマに対して自由に議論を進めていく。 |
|
ほかにも、大学での講義で提示されたテーマについて議論するタイプなどがあります。
学部別に頻出のテーマを大公開
大学入試のグループディスカッションでは、学部・学科に関連したテーマが出題されることが多いです。
ここでは、学部ごとに出題されるグループディスカッションのテーマをまとめてみました。
法学系で頻出のテーマ |
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経済系で頻出のテーマ |
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教育系で頻出のテーマ |
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国際系頻出のテーマ |
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理工系で頻出のテーマ |
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医療系で頻出のテーマ |
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新設系 (情報、環境系など)で頻出のテーマ |
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全学部共通で頻出のテーマ |
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なお、学部・学科に関連したテーマが出題されやすいのはもちろんですが、教育や医療、社会問題などのテーマはどの学部でも出やすい傾向があります。
志望学部だけにとらわれず、幅広いニュースや社会問題に関心を持って情報収集しましょう。
ちなみにグループディスカッションの練習の際には、小論文でよく出るテーマで議論してみるのもおすすめです。いろいろなテーマで練習を積みたい方は、ぜひこちらの書籍も参考にしてみてください。
▶︎神崎 史彦『大学入試 小論文の完全ネタ本シリーズ』文英堂
当日面接官が評価する代表的なポイントとは
ここからは、面接官が評価する代表的なポイントを4つ紹介します。グループディスカッションで高評価を取りたい方はぜひチェックしてください。
専攻する学部、一般時事に対しての知識
グループディスカッションのテーマは志望学部・学科に関連したものが多いです。
しかも議論の際に必要になる基礎的な知識や時事問題に関する知識は持っている事を前提に話が進む事が多いです。
そのため、志望学部・志望学部で頻出するテーマに関しては知識を深める事は重要です。
例えば、経済学部を志望する場合は、税制度や昨今の物価上昇の問題は押さえておきたいです。
それに教育学部を志望するのであれば、教員の労働問題や探究学習などの新しい教育については知っておきたいです。
理想としては、手元に資料がない状態でも志望学部・志望学科に頻出するテーマについては、自分の意見を話せるレベルまで知識を深めておく事です。
そのためにも学部に関連するニュースには目を通し、頻繁に取り上げられる問題は基礎知識を押さえた上で自分の意見もまとめておくのが望ましいです。
主張する内容は根拠があり論理的かどうか
公的なデータや書籍、ニュースの内容など信憑性のある情報を根拠にして主張するようにしましょう。
主張が論理的であり、きちんと根拠づけられているものであれば、面接官からも高評価がもらえます。
また、周りの人の意見に対して発言する際も、論理的で根拠のある主張をすることが大切です。
自分の意見と他の人の意見が違うからといって、感情的に否定したり、そもそも話を聞かなかったりしてしまうと、面接官に悪い印象を与えてしまいます。
チームで協力できる協調性
グループディスカッションでは、自分の意見はしっかり主張しつつ、周りの人の意見を聞く事でより良い結論を導くために協力しながら議論を進めていくことが求められます。
そのため、他の人の意見を真っ向から否定したり、自分の意見を押し通しすぎたりすると、マイナス評価となるので注意しましょう。
他の人の話を真剣に聞き、全体の意見をまとめたり、発言が少ない人をフォローしたりする姿が見られると高評価です。
議論を円滑に進める進行力やリーダーシップ
グループディスカッションは、全体の議論を円滑に進めるリーダーシップも求められます。
リーダーシップを評価してもらいたいなら、ディスカッションのゴールや議論の方向性を示したり、全員の意見をまとめて結論を導いたりする姿勢をアピールするといいでしょう。
また、時間を見て議論の進行を促すタイムキーパーも、関わり方によっては進行力やリーダーシップを示せます。
ディスカッションで事前にやっておく準備
グループディスカッションは、事前準備をしっかりしていれば、話すのが苦手な方でも突破できる可能性がある試験です。
総合型選抜や推薦入試でグループディスカッションがある方は、ぜひこちらの内容を参考にして対策を万全にしておきましょう。
自分の志望する学部の学問を最低限学習しておく
大学入試のグループディスカッションのテーマは、学部・学科に関連したものが多いです。
そのため、志望学部に関連する時事問題やニュースには日頃から関心を持って、積極的に情報収集しましょう。
志望学部の公式サイトを読み込んだり、ニュースサイトで関連分野の最新情報を集めたりしておくのがおすすめです。
日頃から、ニュースや新聞などに目を通しておく
グループディスカッションでは、最近話題のニュースをテーマとして取り上げることもよくあります。
たとえば、2021年以降は東京オリンピックや新型コロナウイルスに関するテーマが多く出題されました。
社会問題や時事ネタがテーマの場合、まずそのテーマの基礎知識がなければ自分の意見を考えることすらできません。
そのため、学部学科の関連記事に限らず、日頃から幅広いジャンルのニュースに目を通しておくことが重要です。
普段の授業で、周りの人との共同作業を大切にする
グループディスカッションで求められるのは、協調性やコミュニケーション能力、周りの人と力を合わせて課題に取り組む力です。
そのため、本番のような練習ができなくても、日頃から学校でのグループワークに熱心に取り組めば、グループディスカッションのスキルを向上させられます。
学校のグループワークでは、司会役やタイムキーパー、全体の意見をまとめる人など、積極的にいろいろな役割に挑戦してみましょう。
いろいろな役割を体験してみることで、自分に向いている役割やグループディスカッションの円滑な進め方がわかってくるはずです。
塾や学校の友達と共にグループディスカッションの練習をしておく
周りにグループディスカッションの試験がある人がいれば、積極的に声をかけて一緒に練習しましょう。
グループディスカッションの対策は、とにかく数をこなして慣れることが大切です。
初めて話す人とディスカッションするのも効果的な練習になるので、塾や学校の友達に協力してもらってたくさんの人と練習しましょう。
当日の議論を上手く進める方法
グループディスカッションを上手く進めるには、議論の流れを把握し、それに沿って進めていくことが大切です。
ここでは、議論の流れや円滑に進めるコツについて解説していきます。
テーマを分析して、ゴールまでの方向性を設定する
最初に、ディスカッションテーマを分析し、「どのような形の結論にするか」を擦り合わせましょう。
面接官から「テーマは課題解決型です」などと伝えられるわけではないので、最初はテーマの出題意図を分析し、それをグループの全員で共有することが重要になります。
この共有が上手くできないとスムーズに議論を進められないため、テーマとゴール、方向性の整理は丁寧に行いましょう。
なるべく知識をお互いに共有する
ディスカッションテーマについての知識がないと、そもそも議論を深める段階に進められません。
そのため、自分がテーマについて十分議論できる知識を持っていない場合は、周りの人に知識を共有してもらいましょう。
また、言葉の定義を一致させることも重要なポイントです。
人によって言葉の定義が違うと話が噛み合わないこともあるので、違和感があれば「〇〇の定義を統一しましょう」と発言して全員で確認するようにしましょう。
最初に互いの役割をある程度決めておく
議論を円滑に進めるためには、ある程度役割を決めておくことが重要です。
代表的な役割としては、この3つが挙げられます。
- 司会(議長役)、ファシリテーター
- タイムキーパー
- アイデアマン
大学によっては最初に役割を決めるよう指示されることもありますが、そうでない場合は自分たちで率先して役割分担をしましょう。
司会やファシリテーターが上手く決まらない場合は、タイムキーパーだけでも最初に決めておくとスムーズに進められます。
論点を整理する
全員から意見が出たら、論点を整理しましょう。
それぞれの意見のメリット・デメリットを考え、意見の根拠やなぜその意見が出たのかを理解するようにします。
ここで、もし自分の意見が正しく理解されていなかった場合は、具体例を示して再度わかりやすく説明しましょう。
議論の前にそれぞれの意見のメリット・デメリット、意見の根拠を整理しておくと、全員で議論の論点を共有できます。
前の人の発言を活かす発言を心がける
ディスカッションでは、前の人の発言を活かす発言も高評価につながります。
前の人の発言に関連して話をしてみたり、言い換えや内容の整理をしたりしてみるといいでしょう。
ただし、話の最中に割り込んで話したり、本人の発言の意図に合わない形で言い換えたりするのはNGです。
必要に応じて議論の中に新しい視点を取り入れる
議論の質を高めるには、それぞれの意見に賛成するばかりではなく、反対意見を提案してみるのも有効です。
反対意見を提示することで、議論に新しい視点を提示し、より良いディスカッションの流れを作れます。
反対意見を言う際は、「〜のように考えることもできると思いますが、それに対してどう考えますか?」などの言い方で、ディスカッションの雰囲気を壊さないように話を展開しましょう。
議論の流れがゴールから遠のきそうな場合は、勇気を出して戻すようにする
グループディスカッションでは、話の流れがゴールと関係ない方向に向かってしまうこともしばしばあります。
そのままゴールと異なる方向に進んで時間内に結論を導けないと、最悪グループ全員が不合格になる場合もあるので要注意です。
「議論の流れが本筋とずれているな」と感じたら、勇気を出して議論のポイントを整理するように発言しましょう。
グループディスカッションにおける代表的な役割
グループディスカッションの代表的な役割は、この4つです。
それぞれの役割のやることと向いている人の特徴をまとめているので、役割分担について知りたい方はぜひご覧ください。
役割 | やること | 向いている人の特徴 |
---|---|---|
司会 (リーダー、議長、ファシリテーターとも言う) |
|
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アイデアマン |
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タイムキーパー |
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書記 |
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なお、「この役割になったら高評価がもらえる」ということは基本的にありません。
どの役割になっても適切に仕事をし、より良いディスカッションにできれば高い評価がもらえます。
そのため、役割に立候補する際は、自分の得意なことを十分活かせる役割を選ぶようにしてみてください。
ディスカッションでの代表的な失敗例とその対策
ここからは、グループディスカッションでありがちな失敗例をいくつか紹介します。
これらはディスカッションに慣れていない人がやりがちな行動のため、事前にしっかり確認して対策しましょう。
時間切れで終わる
グループディスカッションで最も避けるべき失敗は、時間内に結論まで辿り着けないことです。
結論に辿り着けないと、ディスカッションの結果だけでなく、過程でもマイナス評価となってしまいます。
時間切れの対策方法
時間切れを防ぐ対策としては、以下の5つが挙げられます。
時間切れを防ぐための5つの対策
- タイムキーパーを決める
- 最初に具体的なゴールと目標を決め、全員で共有する
- 発言時間や発言の順番などのルールを決める
- ディスカッションの途中で重要なポイントをまとめて共有する
- 論点が多い場合は優先順位を決めて議論する
時間切れを防ぐには、時間管理と議論の整理が重要です。
論点ごとに議論する時間を決めたり、キリのいいところで重要なポイントをまとめたりして、適宜ディスカッションの進み具合を全員で共有しながら進めていけるといいでしょう。
互いの主張が異なり、一つの結論に辿りつかない
グループ内でさまざまな異なる主張があると、一つの結論にまとめられないことも多々あります。
特にディベート型や選択型といった選択肢が複数あるタイプのテーマでは、どっちつかずの結論を出してしまうとマイナス評価になるので要注意です。
1つの結論に辿り着かない事を防ぐための対策
お互いの主張が異なり、一つの結論に辿り着けない場合は、以下の対策を行いましょう。
結論に辿り着かない事を防ぐための対策項目
- 共通する意見や主張をピックアップして結論を導き出す
- 先に結論を決め、その結論の根拠や説明部分に力を入れる
主張が異なって一本化できない場合には、共通項を見出してそこから折衷案を出すやり方が有効です。
どのような形で結論づけるにせよ、信憑性のある情報で根拠づけすることと、全員が受け入れられる結論にまとめることを意識して話し合いを進めましょう。
一部のメンバーだけで話が進む
グループディスカッションでよくあるのが、積極的に意見を出す一部のメンバーで議論が進んでしまうことです。
これは、議論に参加できないメンバーだけでなく、積極的に意見している一部のメンバーにとってもマイナス評価となります。
グループディスカッションは、メンバー全員で議論し、結論を導き出すことが大切なので、話しやすい人だけで盛り上がらないように注意しましょう。
一部のメンバーだけで話が進む事の対策
対策としては、以下の3つが挙げられます。
一部のメンバーで話がする事を防ぐための3つの対策
- 意見をあまりしない人に声をかけ、発言を促す
- 意見が思いつかない人には、全体のまとめや再確認などの役割を与える
- 発言時間や発言する順番を決め、全員が等しく発言できるようにする
発言に関するルールづけは、あまり発言しない人はもちろん、発言しすぎてしまう人にも有効です。
グループ内で一人ひとりの発言量に差がある場合は、こうしたルールづけも積極的に行いましょう。
議論にほとんど参加できず終わってしまう
当然ですが、グループディスカッションでは議論に参加しないと評価はもらえません。
議論にほとんど参加できなかった場合は、不合格となっても仕方ないでしょう。
議論に参加できないことを防ぐための対策
議論に参加できないことの対策としては、この3つが挙げられます。
議論に参加できないを防ぐための3つの対策
- たくさん練習して、ディスカッションの雰囲気に慣れておく
- 積極的に意見を出している人の真似をする
- 受け身ではなく、自分から発言するよう心がける
グループディスカッションに積極的に参加するには、とにかく練習を積んで場慣れすることが大切です。
たくさん練習することで、話の切り出し方や発言するタイミングもだんだん掴めてくるでしょう。
総合型選抜でグループディスカッションを実施している有名大学の一例
九州大学 共創学部 総合型選抜
九州大学 共創学部の総合型選抜Iでは、大学入学共通テスト免除で、書類審査・講義に関するレポート・討論・小論文・面接の総合評価によって合否を決定しています。
グループディスカッションは、文系・理系それぞれ1つずつの講義を受講し、その講義の論題について議論する形式です。
1グループ10数名・制限時間180分と、難易度の高いグループディスカッションとなっています。
武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 総合型選抜
武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部の総合型選抜では、オンラインでのグループディスカッションを実施しています。
内容は以下の通りです。
- 1グループ3〜5名、各グループに教員2名配置して評価
- 時間は60分
2023年度入試のディスカッションテーマはこのようになっています。
みなさんが、社会に感じている違和感、もしくは好奇心について、グループ内の他の受験生へ共有してください。そのうえで、それらの違和感や好奇心をもった皆さんが、仮にグループとしてこれから活動していくとしたら、世界をよりよくするために何が必要だと考え、どのように行動していきますか。みなで話し合い、グループの方針をまとめてください。
引用元:武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 総合型選抜
テーマは自由討論型で、グループごとに幅広い結論が出ると考えられます。
鳥取大学 地域学部・農学部 総合型選抜
鳥取大学では、地域学部 地域学科 地域創造コース・人間形成コース・国際地域文化コース、農学部 生命環境農学科にてグループディスカッションを実施しています。
設定は学部・コースごとに異なりますが、だいたい1グループ7名で、制限時間は45〜120分です。
学部やコースごとのディスカッションテーマは、こちらをご参照ください。
▶︎鳥取大学 総合型選抜 第2次選考 <選抜のポイント、面接・論文等の出題例等>
絶対にやらない方が良い落ちる事に繋がるNG行為
大学入試のグループディスカッションでは、絶対にやらない方がいいNG行為がいくつかあります。
グループディスカッションの試験がある方は、必ず確認して絶対にしないようにしましょう。
非論理的な話を長々と話す事
限られた時間で行うグループディスカッションでは、だらだらと非論理的な話をすることは絶対にNGです。
最初に結論、次に理由とその根拠を端的に話すようにしましょう。
何が言いたいのかわからない発言を延々と繰り返すことは、自分のマイナス評価だけでなく全体の評価を落とすことにもつながります。
議論の流れにそぐわない発言を繰り返す
最初に決めた議論の方向性を無視して、話の流れと関係のない発言をするのもNGです。
ディスカッション中は、話の流れを見て自然な形で発言できるよう意識しましょう。
たとえば、前の人と異なる意見を出すときには「〇〇さんは〜と言っていましたが…」といった形で、前の人の発言とつなげて話を広げるやり方がおすすめです。
他の人が話している時にその意見を一方的に遮って話す
協調性を見られるグループディスカッションにおいて、他の人の話を遮って一方的に話す行為は絶対にやってはいけません。
他の人の話を妨害して自分の意見を主張することはマナー違反であり、「協調性がない」「きちんと話し合いができない」という印象を与えてしまいます。
誰かの発言中に思うことがあっても、話を全て聞き終わってから発言するようにしましょう。
他人の話を聞く気がない態度をとる
他の人が話しているときにあくびをしたり、よそ見をしていたりするのもNG行動の一つです。
グループディスカッションでは、人の話を聞く姿勢や話し合いを円滑に進める行動もチェックされています。
他の人が話しているときには、相手に身体と目を向け、適度に相槌を打ちながら、聞いている姿勢をアピールしましょう。
相手の発言に感情的になったり、相手を論破しようとする
建設的な議論を行う場で、感情的な発言や相手を論破しようとする話し方は絶対にしてはいけません。
こうした姿が見られると「協調性がない」という印象になり、大きなマイナス評価になります。
大学入試のグループディスカッションに関するよくある疑問点
最後に、大学入試でグループディスカッションに臨む人からよく寄せられる疑問に回答していきます。
グループディスカッションとグループ面接の違いって何?
グループディスカッションは、受験生同士が議論を行う様子を外から面接官が評価するものです。一方で、グループ面接は複数の受験生が同時に面接を受けるものです。
そのため、グループディスカッションは学校で行うグループワークに近く、グループ面接は一般的な面接に近いと思っておけば間違いないでしょう。
グループワークとグループディスカッションの違いを教えて
グループワークとグループディスカッションの違いとしては、グループディスカッションが議論メインであるのに対し、グループワークは議論で出た結論から成果物の作成・発表を行うことが挙げられます。
しかし、大学入試のグループディスカッションの中には、結論を発表したり模造紙にまとめたりすることを求める試験もあるため、あまり大きな違いはないと考えていいでしょう。
最後の発表の時間は何分くらいに収めるべき?
グループディスカッションでは、最後にグループの結論を発表する形の大学とホワイトボードや紙にまとめて終了する形の大きく2種類に分けられます。
発表する形の大学では、最初に試験の流れについて説明があるので、そこで確認しましょう。
なお、制限時間が決められていない場合は、グループの結論と理由、根拠を端的にまとめて話すようにしましょう。
ディスカッションするメンバーはどんな風に決まるの?
グループディスカッションのグループ分けは、受験生同士で組むというケースはほとんど見られませんでした。
そのため、面接官によってあらかじめ決められていると考えられます。
グループディスカッションが苦手な人がチームにいた時にどうすればよいの?
グループ内にディスカッションが苦手な人がいたときの対処法は、この3つです。
- 話がある程度進んだタイミングで意見を求める
- 前の人の意見を言い換えたり、再確認したりするときに発言してもらう
- 自分の強みを活かせる役割を担う
グループディスカッションでは、コミュニケーション能力や発言の積極性だけでなく、思考力や全体をまとめる能力、議論を円滑に進める力も求められます。
そのため、発言が苦手な人がいた場合は、タイムキーパーや書記など、その人の強みを活かせる役割を任せるのもいいでしょう。
どの役割が一番通過しやすいの?
グループディスカッションでどの役割を担当したか、役割分担があったかによって、評価が変わることはありません。
そのため、司会役で自分勝手な発言が多かった人と、役割はなくても積極的に意見を出して話し合いに貢献した人とでは、後者の方が高い評価をもらえます。
役割に縛られず、自分の強みを一番活かせる形の関わり方を見つけてみましょう。
グループディスカッションの練習を一人でやる方法はあるの?
1人でできるグループディスカッションの練習方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 志望する学部のディスカッションテーマを調べる・考える
- 志望学部に関連するニュースや時事問題を調べる
- 自分の意見をまとめる練習をする
- さまざまな意見を想定して結論づける練習をする
- 明確な結論を考える練習をする
1人でできる範囲としては、「関連する基礎知識の習得」「自分の意見をまとめる練習」などがメインとなるでしょう。
より本番に近い練習がしたいなら、塾や学校の友達に協力してもらったり、総合型選抜や推薦入試の専門塾に通ってみたりするのがおすすめです。
参考記事:おすすめの対策塾を一挙大公開
まとめ
今回は、総合型選抜や推薦入試で実施されるグループディスカッションの内容や対策方法などについて解説してきました。今回の内容の中で特に重要なポイントは、以下にてまとめてみました。
この記事で特におさえてほしいポイント
- グループディスカッションは、1グループ4〜5名で提示されたテーマについて議論する試験である
- テーマは学部学科に関連したものや社会問題・時事問題が多い
- 自分の意見を主張する力や周りとの協調性、話をまとめる能力などが評価される
- 役割を担うからといって高評価になるわけではない
- 自分の主張を押し通したり、相手を論破したり、感情論や非論理的な話をたくさんしたりするとマイナス評価になる
- グループディスカッションが上手くなる方法は、事前に練習をして場慣れをすること
- 練習相手がおらず悩んでいる場合は、総合型選抜や推薦入試の専門塾を利用するのもおすすめ
志望大学・学部の総合型選抜や推薦入試でグループディスカッションがある方は、今回の記事の内容を参考にして対策を頑張りましょう!
最後になりますが、総合型選抜対策の専門塾ホワイトアカデミー高等部では、グループディスカッションの練習会も実施しております。もし、専門の塾でプロと一緒にグループディスカッションの対策をする事にご興味をお持ちでしたらぜひご利用下さい。
この記事の監修者:諏訪孝明
東京大学経済学部卒。学生時代・社会人時代と合わせると受験指導歴は約15年のベテラン講師。
過去受験指導をした生徒数は400人を超えており、東大・早慶・MARCHの合格者も多数。一般選抜だけではなく、総合型選抜・公募推薦の指導歴も豊富であり、旧AO入試時代と合わせると30名以上を担当。
2020年度に関しても公募推薦で上智大学に合格をした生徒の主担任を務め、奇跡の合格獲得を実現。当スクールの高大接続のビジョンに共感し、主任講師という形で当スクールの設立時より参画。
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